2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K19757
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
伊森 晋平 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (80747345)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 補助変数 / 数理統計学 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は,フレシェ距離に基づく分類問題に関する補助変数の活用に関する研究を主として行なった.解析対象である主要変数とともに観測される補助変数の情報を活用することで,主要変数に関する推測精度が向上することが先行研究によって報告されている.しかしながら先行研究は特定の状況下でしか行われておらず,補助変数の有用性は解析の手法やデータの状況など,設定に応じて変わりうると考えられる.そこで当該年度は広島大学の若木宏文教授との共同研究として,フレシェ距離を用いてデータを分類するような問題を考え,その状況下での補助変数の活用に関して研究を行なった. フレシェ距離は正規分布間の距離の尺度であり,最適輸送理論において分布間の距離として考えられるWasserstein距離として捉えることができる.本研究では,補助変数の利用という観点でのフレシェ距離の性質として,補助変数の追加に関する単調性を導出した.また,この設定における有用でない(冗長な)補助変数を,変数追加後のフレシェ距離が追加前のそれと変わらないものとして定めることを考えた.フレシェ距離は2組の平均ベクトルおよび分散共分散行列を用いて構成されるため,実際の利用においては各未知パラメータを推定する必要があり,その収束レートについても研究を行なった. 本研究内容は科研費シンポジウム「多様な分野における統計科学の理論とその応用」および研究集会「多変量統計学・統計的モデル選択の新展開」において発表している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り研究が進んでいない部分もあるが,昨年度の「今後の研究の推進方策」で考えた通り,データに扱いやすい分布の設定を考えることで研究を進めることができ,研究発表を行うこともできたため.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた研究成果のうち,フレシェ距離の推定量の収束レートに関しては課題が残っている.そのため,推定量を変えるなどの工夫をして,問題解決を試みる.また,次年度が最終年度であるため,現時点で得られている成果の論文執筆や研究発表を進めていきたい.
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Causes of Carryover |
今年度はある程度出張に行くことができたが,新型コロナウイルス感染症の影響により生じていた前年度までの繰越分を全て使用できるほどの出張は行うことができなかったため次年度使用額が生じた.次年度繰越分は出張旅費や備品購入に充てる予定である.
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Research Products
(4 results)