2020 Fiscal Year Research-status Report
医学研究におけるジョイントモデリングに基づく予後予測手法の研究開発
Project/Area Number |
20K19758
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
三角 俊裕 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 助教 (40817300)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 統計的モデリング / ジョイントモデリング / 動的予測 / 経時測定データ解析 / スパース推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
経時測定データおよび二値アウトカムデータに対する両サブモデルに基づいて同時推定を行うジョイントモデリングにおいて,次の研究を推進した.まずは,先行研究で提案されている数値積分を要する推定アルゴリズムは計算コストが高く,数値積分を必要としない階層尤度関数に基づく推定アルゴリズムを考案した.推定アルゴリズムは段階的に検討しており,まずは経時測定データが1変量の場合のアルゴリズムについて,数値シミュレーションおよび実データ解析を通して有用性を確認した論文を国際誌に投稿中である.続いて,経時測定データが多変量の場合のアルゴリズムについて,上記の1変量のアルゴリズムに二変量モデルの組から定義される疑似尤度関数によりフルモデルの推定を行う方法を組み込んだアルゴリズムを考案し,数値シミュレーションおよび実データ解析を通してその有用性を確認した.当該研究については,投稿論文として執筆中である. また,スパースに観測された経時測定データについて,データが集積されるたびに患者毎で逐次的な予後予測を行う動的予測法を提案し,実例を通した有用性を確認した結果を国際会議で発表した.さらに,経時測定データを取り扱う上で重要な欠測問題に対処する方法として,欠測までの時間を第3のサブモデルとしてジョイントモデルに取り込む方法を考案し,数値シミュレーションの結果を国内・国際会議で発表した. これらの提案手法は,経時的に集積される診療データに基づいて患者の予後予測を行う等,医学研究において直面する様々な課題の解決策に繋がるものと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で想定している多変量経時測定データはサンプル数や測定時点数が多く,高計算コストの解析を実施するには非常に多くの時間がかかる.本研究において疑似尤度関数や階層尤度関数を利用した推定法を提案することにより,既存手法に比べて計算コストを軽減することができたが,数値シミュレーションによる手法比較は多くの計算時間を要した.しかしながら,一定の成果を得たことで研究期間内に論文として投稿できる予定である.また,欠測問題を適切に対処するジョイントモデリングと動的予測法の提案については,更なる数値シミュレーションが必要ではあるが,研究期間内に投稿することができる見込みである.さらに,スパース推定によりアウトカムと関連する変数を同定する方法については,実例を通して検討を開始しており,引き続き手法の定式化と数値シミュレーションを行っていく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
既に一定の成果が得られている各研究について,論文として纏めて投稿を行う.加えて,経時測定データを取り扱う上で重要な欠測問題に対する方策についても,ジョイントモデリングの枠組みで検討中であり,引き続き数値シミュレーションや実データ解析を行い,論文として纏めて投稿を行う. 本研究で得られる成果は,関数データ解析における新たなモデリング手法への拡張や,気象学・環境学など経時的変動データを扱う医学以外の研究領域への応用に繋げていくことを目指す.
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