2022 Fiscal Year Research-status Report
1細胞空間トランスクリプトームによる細胞内と細胞間の統合ネットワーク推定手法開発
Project/Area Number |
20K19915
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
土屋 貴穂 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70853167)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 細胞間相互作用 / 空間トランスクリプトーム / シングルセル / 回帰モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞間コミュニケーションは、遺伝子発現など細胞内部の状態を制御し、正常な発生から疾患までにおいて細胞機能に極めて重要な役割を担っている。さらに、シングルセルRNAシーケンス法により、高変性遺伝子(HVG)の細胞間発現変動が明らかにされており、これもまた細胞機能に極めて重要である。しかしながら、細胞間コミュニケーションを介したHVGの細胞間発現変動の制御については、未だほとんど解明されていない。 近年、空間トランスクリプトーム法の登場により、単一細胞の遺伝子発現プロファイルが空間的コンテキストにつながり、細胞間相互作用によるHVGへの制御が明らかになると期待されている。既存の解析手法では、隣接する一つの細胞型から影響を受ける遺伝子発現を抽出する。しかしながら、HVGに焦点を当てず、複数の隣接する細胞型の影響を考慮しないため、定量性と解釈性に課題が残っていた。 そこで、空間トランスクリプトームデータに基づき、HVGの細胞間発現変動に対する複数の近傍細胞型の影響として、細胞間コミュニケーションを同定する枠組みであるCCPLS (Cell-Cell communications analysis by Partial Least Square regression modeling) を提案した。CCPLSは、細胞型ごとにPLS回帰モデリングを行い、その回帰係数を細胞間コミュニケーションの定量的な指標として出力する。シミュレーションデータを用いた評価では、本手法により、隣接する複数の細胞型がHVGに与える影響を正確に推定することができた。さらに、2つの実データセットに適用した結果、CCPLSは抽出された細胞間コミュニケーションから生物学的に解釈できる知見を抽出できることが示された。本研究を論文掲載した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞間相互作用を推定する解析ツールを開発し、論文発表まで至ることができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
開発した解析ツールは1細胞解像度のデータのみに対応している。今後は、複数細胞の解像度に対応した解析ツールを開発する。
|
Causes of Carryover |
コロナウイルス拡大に伴い、当初予定していた旅費を使用しなかったため。
|
Research Products
(7 results)