2022 Fiscal Year Annual Research Report
多層ネットワークを用いたワクチン忌避に対する実証的研究
Project/Area Number |
20K19928
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐野 幸恵 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60580206)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ソーシャルメディア / ワクチン / Twitter / ネットワーク分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、2020年から2022年3月の期間に日本語で投稿された「ワクチン」を含む1.2億件のTwitterへの書き込みデータ(ツイート)を取得することができた。その後、手動でタグ付けをした教師データを用いて、ワクチン・反ワクチン・中立のグループに分類する機械学習のコードを、共同研究者らと作成した。現在も、ワクチン・反ワクチンのグループの意見の推移などに関する詳細な分析を続けており、その一部は2023年3月に行われた日本物理学会の年次大会で発表を行った。 また、昨年度までに収集終わっていた「風しん」に関するツイートの分析結果をまとめ、国際学術誌(PLOS ONE)へ投稿し、半年間の査読の結果、2023年の4月に採択された。風しんに関するツイート分析では、反ワクチンなどの情報はほとんど見られなかった一方で、マスメディアや医療従事者、そして患者家族などの当時者が連携しあって情報を発信・共有している姿を可視化することができた。これはワクチン情報の共有という点において、理想的な一つの形として機能している可能性が高い。このような知見をさらに統合し、一般化することで、ウェブにおける情報拡散のより包括的な議論へと展開できる可能性が高く、新たな共同研究者を巻き込みながら、研究を進めている。 本研究期間全体においては、ワクチンに関するデータを大規模に収集・分析してきた。このような中で培ってきた知識は、本研究期間内に執筆した学術書(「社会物理学」)の中で「6章 社会における伝播現象」として取り上げ、初学者向けにも紹介することができた。また、多層ネットワークの視点でのシミュレーションは、学術ネットワークにおけるシミュレーションにも応用予定であり、大きな広がりが期待できる。
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[Book] 社会物理学2022
Author(s)
小田垣 孝、佐野 幸恵、山崎 義弘、山本 健
Total Pages
330
Publisher
共立出版
ISBN
4320036190