2021 Fiscal Year Research-status Report
エアロゾル粒子の表面形態が及ぼす氷晶形成への影響解明
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20K19959
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岩田 歩 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 助教 (30827340)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 氷晶形成 / 表面積 / 野外観測 / エアロゾル・雲相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き都市域(横浜市)と遠隔地(石川県珠洲市)において実大気粒子の拡散荷電法を用いた粒子表面積濃度の観測を行い、さらに昨年度構築した粒子捕集体制により並行した2種のフィルターを用いた断続的な粒子捕集およびその粒子化学成分(金属成分・水溶性イオン成分・炭素成分)と氷核活性の測定を行った。 2020年秋季から2021年初夏までの解析では、遠隔地の粒子表面積濃度は都市域よりも低く、また比表面積も低く狭い範囲に収まった。とりわけ表面積濃度は有機炭素成分濃度との相関が強く、越境輸送された石炭やバイオマス燃焼由来の粒子によって変動することが示唆された。一方で都市域では粒子濃度の伴い遠隔地よりも高い表面積濃度を示したものの、特定の粒子化学成分との強い相関関係は得られなかった。この内容は国際雑誌Atmosphere誌に発表した。 また測定・解析した2020年度の粒子氷晶形成実験の結果を比較すると、遠隔地における-12.5 ℃および-17 ℃での氷晶核数濃度は、AlやSiなどの元素濃度と比較的強い相関関係が得られ、土壌粒子による寄与が示唆された。一方で都市域の-12.5 ℃での氷晶核数濃度は遠隔地よりも低い傾向にあり、-17 ℃での氷晶核数濃度は遠隔地と同様であるものの土壌粒子の寄与は小さく、有機炭素や黒色炭素濃度との比較的強い相関が得られた。これらの結果は比較的高温度域では、代表的な氷晶形成粒子である土壌粒子の寄与が大きいものの、低温度域ではそれら土壌粒子の大気粒子に対する寄与が小さい都市域でも、有機炭素や黒色炭素粒子が高濃度に存在することで、遠隔地と同様な濃度の氷晶核数濃度が得られたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大の影響や爆弾低気圧による暴風雨による設置捕集装置の故障などのトラブルに見舞われながらも、粒子表面積の観測は継続的に行われており、それと並行した粒子捕集も断続的に行うことができた。また粒子組成分析も適宜順調に進められており、本研究の目標であった粒子物理観測と化学成分分析を並行した、都市域・遠隔地での粒子氷晶形成特性について明らかになりつつある。したがって現在までの到達度を「おおむね順調に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き観測と粒子捕集を行いながらも、すでに捕集・化学成分分析を行った試料について氷晶形成実験を行い、氷晶形成パラメータの導出および氷晶形成粒子に対する粒子種の寄与を明らかにする。一方で現在観測する粒子表面積については、その正確性の検証が必要となる。そのため、粒子表面積観測については、その観測装置の改良および検証を行い、また氷晶形成実験についてはより高時間分解能での測定が可能となるように改良を進め、より正確かつ高時間分解能の粒子氷晶形成データ取得することで、遠隔地・都市域における粒子氷晶形成に対する物理化学的寄与を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症拡大の影響により、予定された機器公正、試料回収、都市域での調査研究が延期された。一方で所属機関の異動に伴い捕集装置修理における消耗品にかかる経費が予定よりも必要であることも明らかとなった。そのため次年度は今年度延期された遠隔地への出張および消耗品として次年度使用額を執行する。
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Research Products
(4 results)