2020 Fiscal Year Research-status Report
持続的な資源利用に向けた国際サプライチェーンにおける金属資源のホットスポット分析
Project/Area Number |
20K20014
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
横井 崚佑 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (80849894)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 金属資源 / 鉱石品位 / 物質フロー分析 / 産業連関分析 / フットプリント |
Outline of Annual Research Achievements |
サプライチェーンの国際化に伴い産業活動が資源生産国に誘発する影響への注目が高まっている。資源採掘に伴う影響を軽減するために効果的な対策を議論するためには、資源の選択やサプライチェーンと影響との関わりを明らかにした上で、その中で対策を講じる上で重要となるポイント(ホットスポット)を特定することが必要である。本研究では、鉱石品位に着目した資源消費の影響評価と国際産業連関分析によるマテリアルフットプリントの推計、構造経路分解法の援用により、日本の生産活動が世界各国に誘発する資源採掘に伴う影響の分析とサプライチェーンにおけるホットスポットの特定を目指す。 一年目は、一次資源の供給源である天然鉱山を対象に、採掘活動の切迫度を表す希少性指標を導入し、国際産業連関分析モデルを援用することで、日本が国際貿易を通して各採掘国における採掘容量に及ぼす影響を定量化する希少性金属フットプリントの推計を3金属 (鉄、銅、ニッケル) に対して行った。さらに要因分解分析法を用いて、日本の希少性金属フットプリントの時系列変化が何の要因によって駆動されているかを分析した。分析の結果、重みづけを行わない金属フットプリントと希少性金属フットプリントに関して地域別の結果で乖離が見られ、日本が採掘を依存している国の一部において採掘容量が切迫していることが明らかになった。また要因分解分析の結果、日本の希少性金属フットプリントの変化は主に日本側の要素 (最終需要、貿易相手) の変化よりも採掘国側の要素 (年間採掘量、埋蔵量) の変化に駆動されていることがわかった。本成果は採掘国における採掘容量に対する消費国の責任を明らかにするものであり、さらに消費国が採掘容量に対する責任や供給リスクを低減するために重要となるポイントの特定に寄与するものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、採掘国に着目した金属資源の希少性評価に国際産業連関分析モデルを合わせることで、日本の希少性金属フットプリントの分析を実施できた。今後の研究計画に向けても準備を進めており、おおむね順調に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は、金属資源消費による影響の評価を中心に研究を進める。金属資源使用に伴う影響やリスクとして、資源枯渇ポテンシャルや温室効果ガス排出量の算定を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
COVID-19による渡航制限によって、海外への渡航分として考えていた経費の使用がなくなり、次年度使用額が生じている。
|