2021 Fiscal Year Research-status Report
Community-based medical systems: Certificated traditional medicine and traditional medical practitioners in South India
Project/Area Number |
20K20052
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 佐知 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 機関研究員 (80805507)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 医療制度 / 非制度的医療 / 伝統医療 / 医療多元性 / ケーララ / 南インド |
Outline of Annual Research Achievements |
インドにおいては医療制度に取り込まれ、近代医療と同様に大学教育により医師が養成さ れる伝統医療(アーユルヴェーダ等)と、公的には医療と認められない伝統的治療師 (vaidya)が並存している。本研究では、南インドを事例に、類縁性を持ちながら異なる性質 を持つ制度的伝統医療と伝統的治療師が、いかに治療提供者としての互いのありように影響を与えあい、また人々が望む治療や生老病死のあり方に応答しているのかを明らかにする。 そして、単に治療効果だけでなく、個人や社会にとって、医療制度の枠にとらわれない医療 が、制度的医療との関係の中で、いかに機能しうるのか、その可能性と限界について質的・ 量的データに依って議論する。インドを含め世界的な高齢化のために慢性疾患が増加し、公的資金が逼迫する状況で、医療制度外の要素に着目することで、制度のあり方について問い直し、医療と制度の関係について、社会や人間全体性の視点から、新たな知見を提供することを大きな目的としている。 一年目の本年は、ケーララ州の3つの社会経済状況の異なる地域で公的資料には現れない伝統的治療師の実態調査を行う予定であったが、新型コロナウィルスの影響でフィールドワークを行うことができなかった。そのため、現地カウンターパートとオンライン上で連絡をとり、コロナ禍に対する伝統的治療師および伝統医療医師の対応を含め、実際的な状況について情報収集を行なったが、カウンターパートも州内での移動が多くの場合、制限されているため、分析に値するデータの収集には至らなかった。 2年目の本年も、現地調査を行うことができなかったが、コロナ禍への制度的・非制度的医療および村落部住民の反応などについて、オンライン上での現地カウンターパートからの聞き取りや現地の新聞から情報を収集した。これまで収集したデータを制度と公共性の観点で分析し、論文を著し投稿した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度もコロナ禍の影響で現地調査を実施することができなかった。オンラインで現地カウンターパートへの聞き取りを行ったが得られた情報は限定的であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は8月から9月にかけて、南インド・ケーララ州のおいて現地調査を実施する計画である。2年間のブランクがあるため、調査地域の基礎的な情報のアップデートをするとともに、コロナ禍に伴う情報を含め、医療従事者、患者にインタビュー、そして参与調査を行う。 そのデータをもとに、年度の後半に治療者と患者のあいだで行われている交渉と制度の関係について論文を執筆する。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍のために海外現地調査ができなかったため。
|