2020 Fiscal Year Research-status Report
ネパールの都市貧困層にとってのストリート空間と共同性
Project/Area Number |
20K20069
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
高田 洋平 日本福祉大学, 福祉経営学部, 助教 (70737717)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ネパール / ストリート / 貧困層 / 路上商人 / アクターネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
ストリート空間の特定のリアリティがいかに人とモノとの連関のなかで形成されているのかについて予備的な考察とネパールでの現地フィールド調査を行った。フィールド調査ではネパールのストリートに溢れる人やモノについて情報収集を行った。調査では、ストリートを生活の手段として使用する重要なアクターである貧困層や路上商人への聞き取りだけでなく、路上商人組合のストリート・ベンダー・ユニオンの設立者にインタビューすることができた。そのなかで彼ら貧困層の空間使用に関する考え方に接近することができたとともに、貧困層とされる人々の考え方の多様性も明らかになった。そのため現在は調査対象、アクターの明確化と整理を再度行い、調査方針を再検討している。さらに現時点までの調査を通じてネパールのストリートのリアリティを構成するものとして当初予想していなかったアクターが特に貧困層にとって重要である可能性が示唆された。それらについて分析を加えたものを、現在、『文化人類学』に論文として投稿し、2021年5月現在、査読修正中である。論文執筆を通してストリートのリアリティを構成するアクターネットワークの一端を描き出してみたい。また2021年10月には上記のような調査をもとに南アジア学会での学会発表を行った。特にストリートの使用をめぐる社会運動がどのように構築されているのか、同時にストリートから貧困層を締め出す動きについての報告を行い、ネパールのストリートの動態について発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度はストリートを使用する人・団体へのインタビューやストリートでの参与観察など、現地フィールド調査とそれに基づく投稿論文一本の提出を計画していた。現在までいずれも実施済みであり、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に研究計画に基づき、2021年度は引き続き論文一本の提出を目指す。しかしコロナによって2021年度の現地フィールド調査が可能かどうかは不透明である。もし現地フィールド調査が不可能である場合を見越し、2021年度夏期までに日本のストリートを調査対象として開拓し、それをもとに論文を提出することとしたい。
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Causes of Carryover |
2021年2月に予定していた現地フィールド調査がコロナによって実施不可能となった。この影響で、当初予算のうちの多くを占めていた海外渡航・滞在費の支出がなくなったことが、次年度使用額が生じた理由としては大きい。2021年度についてはコロナの状況次第ではあるが、2021年1月に予定していた調査・渡航計画の日数を従来の二週間ではなく、一ヶ月程度まで伸ばすこと、また対象都市をカトマンドゥだけではなく、ポカラやチトワンなど他の都市に広げるなど、調査規模を拡大することを通して、使用額の調整を行なっていきたい。なお2021年度はアクター・ネットワークに関する先行研究を当初の想定より綿密に検討する必要性が生じていると認識している。このため2021年度は前年度に比べて文献購入の量が当初計画よりも多くなると予想されている。このため今回生じた2021年度使用額は文献購入費として上乗せしていきたい。
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Research Products
(1 results)