2021 Fiscal Year Research-status Report
満洲語の歴史社会言語学的研究ー言語学と歴史学からの解明ー
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20K20274
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久保 智之 九州大学, 人文科学研究院, 特任研究員 (30214993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
承 志 追手門学院大学, 基盤教育機構, 教授 (80455229)
児倉 徳和 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (70597757)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シベ族の歴史学的研究 / シベ語の言語学的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
満洲語とシベ語について、その言語学的研究を行なうとともに、歴史学の視点からも、種々の言語接触、民族の接触についての研究を行なった。 言語学的研究については、引き続き、シベ語文法(音韻論、形態論、統語論、意味論を含む)の研究を行ない、現代ウイグル語やモンゴル語、また満洲語との 対照研究、比較研究を行なった。 特筆すべきは、研究分担者の承志が中心となって、2020年度5月より、「週日錫伯語対談」として、ほぼ毎週1回、zoom で全世界のシベ族、およびシベ研究者を繋ぎ、シベ語でオンラインの対談を実施していることである。2021 年度は開催40回近くを数えた(2020年度からの通算では80回近く)。分担者の承志が、対談相手の選定と対談の司会を行ない、毎回さまざまなシベ人士に登場願って行なった。また、現地のシベ人と の協働により、各地のシベ人の談話資料の採録を行なった。コロナ渦のなかで、現地調査や国際学会がままならない中、シベのネットワーク拡大に大きく貢献するとともに、シベ語という消滅危機言語の記録としても、大変貴重なデータを蓄積したと言える。 なお、代表者の久保は、2021年度も、オンラインで日本国内および新疆ウイグル自治区のシベ族を繋いだ、言語学の授業を行なった。コロナ渦に あって、ポストコロナも見据えた新しい試みであった。分担者の児倉は前年度に引き続き、補助動詞を対象に、文法変化と周辺言語との接触のありかたの解明に向けた調査研究を行なった。調査研究はオンラインで現地の話者の協力を得ながら行なった。さらに、古典満洲語と現代シベ語との間の文法の比較・対照研究のための材料として、17世紀初頭の満洲語資料の訳注を行い、出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により、国際学会の企画が進んでいない点は、如何ともしがたい。ただ、その(対面で学会を開催できないという)マイナス面を、はるかに上回る規模で、オンラインによる世界のシベ人のネットワーク構築が進んでいる(専ら、研究分担者の承志の労による)。
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Strategy for Future Research Activity |
オンラインを使った諸活動を、かなり活発にはじめており、R2-3年度は、言語調査なども、オンラインでの実施を試みている。もちろん対面調査と比較すると、音声の質の悪さなど、劣る部分も多いが、補助的手段として活用することは可能である。R4年度も、オンラインを活用して、調査研究を継続する。また、満洲、シベ関係の資料収集にも努める。
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Causes of Carryover |
当初は、ハンガリーの社会科学アカデミーと共同で、満洲・シベに関する国際学会の開催(ハンガリーで対面)を計画していた。残念ながら2021年度は、コロナ禍で開催はかなわなかったが、次第に好転しつつあるコロナ禍を慎重に見極めつつ、できれば2022年度の開催をめざす。
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[Book] 内国史院档 順治元年 Ⅰ2022
Author(s)
満文講読会(訳編)
Total Pages
xii+156
Publisher
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
ISBN
978-4-86337-380-8