2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H06222
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
八島 正知 東京工業大学, 理学院, 教授 (00239740)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | イオン伝導体 / 結晶構造解析 / 中性子回折 / 結合原子価法 / 新物質探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
陰イオンが移動するときのエネルギー障壁は陽イオンのネットワークである程度決まるため,高いイオン移動度は,蛍石型(8配位:立方体)やペロブスカイト型(6配 位:八面体)など特定の結晶構造型と配位多面体で発現する.殆どのイオン伝導体は偶然発見されてきたが,本研究課題では,膨大な既存の結晶構造データからリング構造や5配位や7配位,複数の混合配位など今までイオン伝導体として注目されてこなかった物質群を抽出し,候補物質を高速スクリーニングし,従来注目されてこなかった 配位多面体やリング構造によるイオン伝導を示す,新型イオン伝導体を探索することを目的としている.また,そのような珍しい配位多面体を有するイオン伝導体の伝導機構を明らかにすることも目的としている.今年度はGaを含む酸化物系とABCO4を中心に探索した.結合原子価法により酸化物イオンが移動するエネルギー障壁を計 算した結果,エネルギー障壁が比較的低い候補化合物がいくつか見いだされた.そこで, 実際に試料を固相反応法で合成し,構造解析を行った.新しいリング構造を含み、しかも希土類を含まない酸化物イオン伝導体Ca3Ga4O9を発見した.結合原子価法により2次元の(Ga4O9)6ユニット内を酸化物イオンが移動することが示された.この成果はレフリーから高く評価され、Inorg. Chem.に掲載された。また,新構造型の酸化物イオン伝導体BaGdInO4系材料を発見した。Gdが二種類の7配位多面体GdO7を形成するというユニークな1次元の構造的特徴を有していることも単結晶X線回折データの構造解析により見出した。このBaGdInO4系材料のバルク伝導度は、ABCO4材料の中では最高クラスであり、注目される成果としてJ. Mater. Chem. Aに掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
陰イオンが移動するときのエネルギー障壁は陽イオンのネットワークである程度決まるため,高いイオン移動度は,蛍石型(8配位:立方体)やペロブスカイト型(6配 位:八面体)など特定の結晶構造型と配位多面体で発現する.殆どのイオン伝導体は偶然発見されてきたが,本研究課題では,膨大な既存の結晶構造データからリング構造や5配位や7配位,複数の混合配位など今までイオン伝導体として注目されてこなかった物質群を抽出し,候補物質を高速スクリーニングし,従来注目されてこなかった 配位多面体やリング構造によるイオン伝導を示す,新型イオン伝導体を探索するというユニークで独自の手法と視点により新物質を発見しており、当初の計画以上に進展しているといえる。実際、無機化学の一流誌Inorg. Chem.(IF = 4.850)の審査員からもTop 10の高評価を数多く頂き、掲載された。また、研究グループが発見したBaNdInO4の関連物質の探索過程でも、BaNdInO4とは全く異なる結晶構造を持つBaGdInO4を発見し、その固溶体が数百倍の高い伝導度を示すことがわかるなど当初の計画以上に課題が進展している。このBaGdInO4系材料のバルク伝導度は、ABCO4材料の中では最高クラスであり、注目される成果としてJ. Mater. Chem. A(IF = 10.733)に掲載された.さらに複数の配位状態をハイブリッドで取る新物質を探索し,一つの陽イオンが二種類の配位状態を時間に依存して両方とることにより高い酸化物イオン伝導度を示す画期的な 新物質も発見しつつあり,特許も出願している. このように特異な配位多面体や構造の新型イオン伝導体を発見したこと,また,特異な配位多面体を介したユニークなイオン伝導機構を解明したことから,当初の計画 以上に課題が進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きイオン伝導が報告されていない基本物質について配位多面体の連結様式を調べて候補物質を選定する.結合原子価(BV: Bond Valence)法に基づ いて単位胞内におけるテスト酸化物イオンのエネルギー図(BVE図)を計算する.計算したBVE図において格子を横切ってイオン伝導経路が連結するか否かを精査する.連結しなければその物質を候補から棄却し,連結すれば次の手順へ進む.BV法あるいは第一原理計算でスクリーニングした候補物質を合成する.X線回折(リートベルト解析)と蛍光X線分析とICP発光分析により組成と生成相を評価する.合成した化合物について,直流四端子法により電気伝導度の温度依存性を空気中で測定する.電気伝導度が高い組成については,電気伝導度の酸素分圧依存性および輸率を測定する.イオン伝導度が比較的高い試料を大量に合成し,中性子回折および放射光X線回折測定を実施する.回折データを用いて,リートベルト法と最大エントロピー法により核密度分布(中性子),電子密度分布(放射光X線),BVE図,第一原理計算による拡散経路を求め,イオン拡散経路と化学結合を研究する.中性子回折実験を,原子力機構内のJ-PARCのiMATERIAとSuperHRPD,海外の施設(オー ストラリアANSTO)のEchidnaにて実施する予定である.コロナ問題で出張が難しい場合にはメールインサービスを利用する予定である。放射光X線回折実験はつくばの放射光研究施設PFまたは兵庫県のSPring-8にて実施する. 発見した新型イオン伝導体の組成を変えて,イオン伝導度が高い組成を探索する.解明した結晶構造を基に,キャリア濃度とイオン伝導度が高い組成を設計し,系統的に組成が異なる試料を多数合成して,電気的な性質を研究する.
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Remarks |
世界最高クラスの新型電解質材料を発見 https://www.titech.ac.jp/news/2020/046483.html Getting through the bottleneck https://www.titech.ac.jp/english/news/2020/046633.html
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Research Products
(63 results)
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[Journal Article] Two‐Dimensional Perovskite Oxynitride K2LaTa2O6N with an H+/K+ Exchangeability in Aqueous Solution to Form Stable Photocatalyst for Visible‐Light H2 Evolution2019
Author(s)
Takayoshi Oshima, Tom Ichibha, Kenji Oqmhula, Keisuke Hibino, Hiroto Mogi, Shunsuke Yamashita, Kotaro Fujii, Yugo Miseki, Kenta Hongo, Daling Lu, Ryo Maezono, Kazuhiro Sayama, Masatomo Yashima, Koji Kimoto, Hideki Kato, Masato Kakihana, Hiroshi Kageyama, Kazuhiko Maeda
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Journal Title
Angewandte Chemie
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Crystal structure analysis of the oxide ion conductor BaNdInO4 by high-temperature neutron diffraction2020
Author(s)
Hitomi Shiga, Masahiro Shiraiwa, Wenrui Zhang, Yuta Yasui, Hiroaki Tejima, Kotaro Fujii, Taito Murakami, Masato Hagihala, Shuki Torii, Ping Miao, Takashi Kamiyama, Masatomo Yashima
Organizer
The Power of Interfaces:Fundamentals for Solid State Devices(国際学会)
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[Presentation] Crystal structure analysis of the oxide ion conductor BaNdInO4 by high-temperature neutron diffraction2019
Author(s)
Hitomi Shiga,Masahiro Shiraiwa,Wenrui Zhang,Yuta Yasui,Hiroaki Tejima,Kotaro Fujii,Taito Murakami, Masato Hagihala, Shuki Torii, Ping Miao, Takashi Kamiyama,Masatomo Yashima
Organizer
The 13th Pacific Rim Conference of Ceramic Societies
Int'l Joint Research
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