2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K20293
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
八島 正知 東京工業大学, 理学院, 教授 (00239740)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | イオン伝導体 / 結晶構造解析 / 中性子回折 / 結合原子価法 / 新物質探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
イオンが移動するときのエネルギー障壁は陽イオンのネットワークである程度決まるため,高いイオン移動度は,蛍石型(8配位:立方体)やペロブスカイト型(6配位:八面体)など特定の結晶構造型と配位多面体で発現する.殆どのイオン伝導体は偶然発見されてきたが,本研究課題では,膨大な既存の結晶構造データからリング構造や5配位や7配位,複数の混合配位など今までイオン伝導体として注目されてこなかった物質群を抽出し,候補物質を高速スクリーニングし,従来注目されてこなかった配位多面体やリング構造によるイオン伝導を示す,新型イオン伝導体を探索することを目的としている.また,そのような珍しい配位多面体を有するイオン伝導体の伝導機構を明らかにすることも目的としている. 今年度は層状ペロブスカイトを中心に探索した.結合原子価法により酸化物イオンが移動するエネルギー障壁を計算した結果,エネルギー障壁が比較的低い候補化合物がいくつか見いだされた.そこで,実際に試料を固相反応法で合成し,構造解析を行った.その結果,4配位と6配位が混合することにより高速酸化物イオン伝導を実現する新物質を発見した.この成果は高く評価され, Nature Comm.に掲載された.伝導度が高い上に,還元雰囲気下でも安定で電子伝導を殆ど示されていない.このように特異な配位多面体や構造の新型イオン伝導体を発見したこと,また,特異な配位多面体を介したユニークなイオン伝導機構を解明したことから本課題は大きな成功を収めたと考えられる.
|
Research Products
(60 results)