2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of Terahertz Intensity Interferometry for Super High Angular Resolution
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20K20346
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
松尾 宏 国立天文台, 先端技術センター, 准教授 (90192749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江澤 元 国立天文台, アルマプロジェクト, 助教 (60321585)
浮辺 雅宏 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究グループ長 (00344226)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | テラヘルツ技術 / 強度干渉計 / 超伝導検出器 / 冷却システム / 極低温回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
テラヘルツ強度干渉計の実験室における実証実験を目的として、SIS光子検出器の開発、極低温回路素子の開発、0.8K吸着冷凍器の開発、光学実験用クライオスタットの組み立てを進めた。 SIS光子検出器の開発として、電磁界シミュレータ(HFSSおよびFEKO)を用いたアンテナビーム特性、伝送線路の減衰率、検出器のインピーダンス整合について最適化を行い、検出器設計・製作に反映させた。また、微小接合の特性改善のため、超伝導蛍光X線検出器付走査型電子顕微鏡(SC-SEM)によるSIS素子断面の観察を行い、製作プロセスにフィードバックを行った。 極低温回路素子については、広帯域読出しを実現するために初段FETのゲート容量の評価を進めた。測定系の整備により1pA以下の容量測定が可能となり、目標とする10fF以下の測定系を目指して改良を進めている。 0.8K吸着冷凍器については、前年度試作モデルの評価を受けて、耐圧構造の見直しおよび液体ヘリウムの超流動を制限するオリフィスの改善などにより、最低到達温度0.71K 保持時間3時間の性能を安定に得ることができた。また、2台の並列運転による連続冷却に必要となる0.8Kで用いるHe3ヒートスイッチの試作・評価を行った。 光学実験用クライオスタットについては、次年度の光学実験に向けて組立作業を行った。作業内容としては、冷却性能の向上を目指してアルミ蒸着マイラを300Kおよび50Kステージに貼る作業などである。 将来計画への取り組みとして、光学赤外線天文連絡会の将来計画検討ワーキンググループにWhite Paper「スペース赤外線強度干渉計」を提出し、光赤天連シンポジウムで議論を行った。また、宇電懇シンポジウム、受信機ワークショップなどで南極テラヘルツ干渉計の提案を行った。さらに、英国雑誌「Impact」にテラヘルツ強度干渉計に関する研究紹介の記事を掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響により、開発実験に使える時間に大きく制限を受けた。特に本研究開発に参加する学部生および大学院生については、基本的に在宅での勉強が求められ、実験室での作業があまり進んでいない。このため、クライオスタットの組み立て作業が遅れている。 一方で、0.8K吸着冷凍器の開発は、企業の協力もあり、耐圧構造の見直し、オリフィス面粗さの改善などを進め、実験室での評価を優先的に進めることで、安定した性能が得られるようになった。 検出器の開発については、年度前半には主として電磁界シミュレーションを用いた検出器構造の見直しを行い、年度後半の検出器製作・評価にフィードバックをかけることができた。 極低温回路素子の評価についても、10fFレベルの低容量ゲート構造を目指した実験的検証に着手することができた。一方で、我々が採用しているFETが企業において製造できなくなったことが判明し、代替FETの探索が必要となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
実験研究を効率よく進めるために、実験室メンバーの活動レベルを向上させる必要がある。このために、学部生および大学院生に対する研究指導を強化する。Zoomで行う研究室セミナーを活用し、研究開発内容について理解を深め、実験研究に生かすことを心がける。 本研究は国立天文台・先端技術センターの実験室を中心に展開しているが、今後は先端技術センターの設備(超伝導薄膜製造設備など)を利用できるよう環境を整える。具体的には、大学院生が国立天文台の特別共同利用研究員となることで設備の利用が可能となり、検出器開発を推進することができる。また、次年度の光学実験に備え、光学実験スペースの確保を図る。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスによる在宅勤務、所属学生の在宅勉強により、実験研究が大幅に遅れており、光学実験を行うためのクライオスタットの組み立て作業が完了しておらず、光学実験に必要な部品製作・購入が出来ていない。 次年度に光学実験を実行するために、クライオスタット内部の機構部品・光学部品、読出し回路の製作費、および、光学実験のための自動ステージ、計算機、冷却系制御のための計測器などの購入費として支出予定である。
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Research Products
(13 results)