2020 Fiscal Year Research-status Report
高速三次元計測と局所場光摂動による自在な細胞機能編集技術の開発
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20K20379
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
清末 優子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (90568403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和氣 弘明 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (90455220)
川崎 善博 東京大学, 定量生命科学研究所, 客員准教授 (10376642)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高解像ライブイメージング / 細胞骨格 / 細胞形態 / 細胞動態 / ホログラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、かつてない時空間分解能での3Dライブイメージングが可能な「格子光シート顕微鏡」を用いて、ここに時空間制御した微小領域の光刺激を導入することで、シングルセル及びオルガネラレベルでの標識や機能制御が可能となる技術の開発を目指す。格子光シート顕微鏡は、本申請者が研究開発に参画した技術情報(Science 346, 6208, 2014)に基づきカスタム構築した。構築した顕微鏡を用いて培養細胞やオルガノイドの微小管やアクチン細胞骨格、細胞膜形態、細胞内小器官、細胞外粒子などのライブイメージングを行い、これまで検出することができていなかった様々な新たな現象を見出している。 格子光シート顕微鏡では、ベッセルビーム技術を応用して生成した厚み0.4~1ミクロンの超薄ライトシートを用いて、毎秒100-200枚のスライス画像を取得することで、200~300ナノメートルの高い解像度で3Dスキャンする。シングルセルであれば0.5~1秒以内に細胞全域をスキャンできる。この高い時空間分解能により、個々のオルガネラや分裂期染色体を分離検出することができる。このシステムを用いてシングルセルやオルガノイド等の立体サンプルの中の細胞を光刺激することで、分子や細胞機能の解析を行う。そのため、細胞骨格系や核/染色体および幹細胞マーカーを視覚化する細胞やマウスを樹立あるいは調達し、正常および異常な細胞機能の解析を行うために遺伝子変異を導入した。 光刺激の方法として、直径1ミクロン以内のシングルベッセルビームや、ホログラフィ技術でパターン化した光を用いる。シングルベッセルビームを用いても、縦及び横方向にビームとステージを振ることで広い領域の刺激を与えることも可能である。構築したシステムとマテリアルを用いて、正常および“がん”をはじめとする疾患における組織形態メカニズムに関する研究を今後さらに進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
清末と川崎のチームでは、構築した格子光シート顕微鏡を用いて、培養細胞やオルガノイドの微小管やアクチン細胞骨格、細胞膜形態、細胞内小器官、細胞外粒子などの観察から、様々な新たな現象を見出している。このシステムを用いて、腸管上皮幹細胞を追跡するためにLgr5(腸管上皮幹細胞マーカー)のプロモーター制御下でEGFPを発現する遺伝子改変マウス(Lgr5-EGFP)や、GFP/RFP融合ヒストンH2BおよびEB1-GFPノックインマウスに、がん抑制因子APCの変異を導入したマウスから採取した初代培養細胞やオルガノイドの観察を進めた。腫瘍形成を抑制する遺伝子変異を導入したレポーター導入マウス系統も樹立した。また、マウス組織またはオルガノイドにおいて単一の核や染色体を標識できるようにするため、光スイッチタンパク質mEos4を融合したH2Bをノックインしたマウス系統を作出した。さらに、ヒト由来腫瘍細胞に遺伝子導入や改変を行う手法を確立した。 和氣チームでは、開発したニコンC1顕微鏡をベースとした2光子ホログラフィック顕を用いて、技術改良を行い光スポット数,スポット位置に関わらず,均質な光刺激を行なうための位相最適化法を搭載した。さらに細胞刺激の為の刺激レーザー光の形状を最適化した。現在このシステムを生体に応用し、50個-100個の細胞を30Hzで刺激することが可能となっている。そこで2光子励起した蛍光画像をCCDカメラで取得することができれば格子光シート顕微鏡に応用できると考え、2光子励起光をホログラフィック光路によってマルチスポットで生体に作成し、これによって出てくる蛍光をCCDで検出することに成功した。これらの生体のカルシウムイメージングに応用ができることを明らかにし、高速で生体イメージングが行えるようになった。そこで光形状を現在シート化しこれによる蛍光画像の取得ができるか検証している。
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Strategy for Future Research Activity |
清末と川崎のチームでは、格子光シート顕微鏡を運用し、作出したマウスやヒト細胞およびオルガノイドを用いて、細胞のダイナミクス(細胞分裂や分化が起こる場所、パターン、タイミングなど)を詳細に解析することで、組織構築機構やがんの発生機序の理解につながる新たな知見の獲得を目指す。また、これまでに腸細胞や腫瘍細胞オルガノイドを構築する細胞のシングルセル解析手技を確立してきたので、蛍光標識技術を組み合わせてイメージングした特定の細胞の特徴を解析できるようにすることで、細胞の位置情報と細胞の遺伝子発現情報を融合する手法の開発を進める。 和氣チームでは、光形状をシート化し、これによる蛍光画像の取得ができるか検証し、さらにシートによる蛍光画像で試料の断層撮影が可能かを透明化した脳サンプルで検証する。将来的には、これらの技術を連携させることで、イメージングから得られる細胞の表現型情報と、細胞の遺伝的情報を融合し、多元的な細胞情報を取得する技術を確立する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う期間の延長、および、補助事業の目的をより精緻に達成するための研究の実施のため。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Pain induces stable, active microcircuits in the somatosensory cortex that provide a new therapeutic target.2021
Author(s)
Okada T, Kato D, Nomura Y, Obata N, Quan X, Morinaga A, Yano H, Guo Z, Aoyama Y, Tachibana Y, Moorhouse AJ, Matoba O, Takiguchi T, Mizobuchi S and Wake H
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Journal Title
Sci Adv
Volume: 7
Pages: eabd8261
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] APC mutant cells exploit compensatory chromosome alterations to restore tumour cell fitness2020
Author(s)
Yoshihiro Kawasaki, Tomoko Hamaji, Koji Owada, Akiko Hayashi, Yuping Wu, Taisaku Nogi, Miwa Okada, Yuta Kouyama, Atsushi Niida, Koshi Mimori, (他11名) Wesley R Legant, Bi-Chang Chen, Eric Betzig, Ron Smits, Riccardo Fodde, Hiroko Oshima, Masanobu Oshima, M Mark Taketo, Tetsu Akiyama, Yuko Mimori-Kiyosue
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Journal Title
bioRxiv
Volume: -
Pages: -
DOI
Open Access
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[Journal Article] Maternal Immune activation induces sustained changes in fetal microglia motility2020
Author(s)
Ozaki K, Kato D, Ikegami A, Hashimoto A, Sugio S, Guo Z, Shibushita M, Tatematsu T, Haruwaka K, Moorhouse AJ, Yamada H, Wake H
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Journal Title
Sci Rep
Volume: 10
Pages: 21378
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Negative feedback control of neuronal activity by microglia.2020
Author(s)
Badimon A, Strasburger HJ, Ayata P, Chen X, Nair A, Ikegami A, Hwang P, Chan AT, Graves SM, Uweru JO, Ledderose C, Kutlu MG, Wheeler MA, Kahan A, Ishikawa M, Wang YC, Loh YE, Jiang JX, Surmeier DJ, Robson SC, Junger WG, Sebra R, Calipari ES, Kenny PJ, Eyo UB, Colonna M, Quintana FJ, Wake H, Gradinaru V, Schaefer A.
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Journal Title
Nature
Volume: 586
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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