2020 Fiscal Year Research-status Report
「免疫記憶を代謝で制御する」:脂肪酸代謝調節による記憶T細胞の形成と機能制御
Project/Area Number |
20K20383
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中山 俊憲 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50237468)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 免疫記憶 / 脂肪酸代謝 / 記憶T細胞 / 喘息 |
Outline of Annual Research Achievements |
喘息やアトピー性皮膚炎、関節リウマチなどの慢性炎症疾患では、病原性記憶T細胞が同定され、その制御が疾患治療を考える上で重要となってきている。生体内で長期間生存する抗原特異的記憶T細胞は、免疫記憶の司令塔としての役割を担っているが、どのような特徴を示す細胞がいかなるメカニズムで記憶T細胞になり、生体内で長期間生存するのかは未だ不明の点が多い。これまでの研究により、数多くある細胞内代謝経路のうち脂肪酸代謝を抑制することで、より多くの記憶T細胞が形成され免疫記憶が増強することが明らかとなっている。そこで本研究では脂肪酸代謝に焦点をあて、どのような特徴を示す細胞がいかなるメカニズムで記憶T細胞になるか解明する研究を行うことを目的としている。2020年度は、「脂肪酸代謝コントロールによる記憶T細胞形成メカニズムの解明」の研究を中心に行った。 1-1. 記憶T細胞形成における脂肪酸代謝経路の役割解明 記憶T細胞形成における脂肪酸代謝経路の役割をより正確に解析するため、記憶T細胞形成における脂肪酸代謝経路の解析を行った。その結果、記憶T細胞の形成過程で特異的に活性化する代謝経路およびその代謝経路を制御する分子群を同定することができた。 1-2. ナイーブ、エフェクター、記憶T細胞を用いたSingle-cell RNA-seq解析を施行した。ヘルパーT細胞には様々なサブセットが存在するが、特に喘息の悪化に深く関与するTh2細胞に焦点を当てて、その解析を進めた。同データセットの詳細な解析によって、記憶T細胞の前駆細胞の候補となりうる亜集団を同定できた。また、Single-cell ATAC-seq解析を行うための条件検討を行い、実験条件を最適化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度に研究の一部が論文発表(以下)された。この研究で同定された記憶T細胞の前駆細胞については、現在、脂質代謝との関連について研究を進めている。このように、様々な観点から記憶T細胞の前駆細胞を同定するための研究を進めており、その成果が着実に出ている。 Suzuki A, Yagi R, Kimura M, Iwamura C, Shinoda K, Onodera A, Hirahara K, Tumes DJ, Koyama-Nasu R, Iismaa SE, Graham RM, Motohashi S, and Nakayama T: Essential role for CD30-Transglutaminase 2 axis in memory Th1 and Th17 cell generation. Front. Immunol. (2020). 2020; 11: 1536.
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年度である本年は、計画していた以下の実験を行う予定である。 1.脂肪酸代謝コントロールによる記憶T細胞形成メカニズムの解明のため、引き続き記憶T細胞形成における脂肪酸代謝経路の解析を行う。 2.記憶T細胞への運命決定を制御する遺伝子及び前駆細胞マーカーの同定のため、昨年度に引き続き、2-1. ナイーブ、エフェクター、記憶T細胞を用いたSingle-cell ATAC-seq解析および、2-2. 記憶T細胞形成をコントロールする因子の同定のための実験を進める。 3.ヒト記憶T前駆細胞の同定のため、Single-Cell RNA-seq解析を用いて、単一細胞遺伝子発現レベルで末梢血ヒト記憶T前駆細胞の特徴を明らかにする。In silicoでのRNA-seq解析とメタボロミクス解析やアポトーシス解析を組み合わせることで、記憶T前駆細胞としての性質を多方面の解析から検討する。
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Research Products
(22 results)
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[Journal Article] Orally desensitized mast cells form a regulatory network with Treg cells for the control of food allergy2021
Author(s)
Takasato Y, Kurashima Y, Kiuchi M, Hirahara K, Murasaki S, Arai F, Izawa K, Kaitani A, Shimada K, Saito Y, Toyoshima S, Nakamura M, Fujisawa K, Okayama Y, Kunishima J, Kubo M, Takemura N, Uematsu S, Akira S, Kitaura J, Takahashi T, Nakayama Toshinori, Kiyono H.
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Journal Title
Mucosal Immunology
Volume: 14(3)
Pages: 640~651
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] CD1d expression in glioblastoma is a promising target for NKT cell-based cancer immunotherapy2021
Author(s)
Hara Ayaka, Koyama-Nasu Ryo, Takami Mariko, Toyoda Takahide, Aoki Takahiro, Ihara Fumie, Kobayashi Masayoshi, Hirono Seiichiro, Matsutani Tomoo, Nakayama Toshinori, Iwadate Yasuo, Motohashi Shinichiro
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Journal Title
Cancer Immunology, Immunotherapy
Volume: 70(5)
Pages: 1239~1254
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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