2021 Fiscal Year Research-status Report
多層オミックスとiPS技術,霊長類モデルを駆使した加齢性難聴への挑戦
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20K20409
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
藤岡 正人 北里大学, 医学部, 教授 (70398626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 郁 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 名誉教授 (00169179)
新井 康通 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20255467)
細谷 誠 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (30645445)
野口 勝 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (50626760)
佐々木 貴史 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (70306843)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 加齢性難聴 / GWAS / omics解析 / コモンマーモセット / ヒトiPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢化社会を迎えて久しい本邦にとって重要な課題である加齢性難聴(老人性難聴)の病態理解と治療標的を同定すべく、本研究では、(1)超高齢者の聴力を規定する一塩基多型(SNP)の探索同定と、(2)小型霊長類コモンマーモセットでの遺伝子発現解析により、病態に関与する候補遺伝子を絞り込み、(3)マウスモデルやヒトiPS技術でこれらの遺伝子の内耳細胞における役割やSNPが与える影響の機能評価を行うことで、内耳細胞の加齢性変化に影響を与える体質・遺伝子の同定と分子メカニズムの解明を目指す。それぞれについて、これまでの研究実績の概要を以下に記す: (1)(2)聴力検査を施行しデータ解析が可能であった400名超の健康長寿者の全ゲノム解析GWASをimputation法を併用して行い、複数の聴力関連SNP候補を見出し、マーモセット内耳での研究で絞り込んだ。また、同一母集団における追跡調査を行った。 (3)遺伝子改変マウスによる候補遺伝子のin vivoでの加齢性難聴の評価をすべく、C57BL6マウスの若年発症型進行性難聴の原因SNPを修復したマウスを導入し、基礎データとしてその聴力の加齢性変化を検討した。 なお、令和2年度はコロナ禍における施設方針により、これらのマウス研究の多くと、全てのiPS細胞を用いた研究が停止し、令和3年度は学内の施設工事のためにマウス研究が停止し、かつ令和4年2月に研究代表者が北里大学に赴任することとなり、樹立したすべてのiPS細胞を含めた研究リソースの引越を行ったため、予定より研究の進行は大幅に遅れている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和2年度は新型コロナ感染症パンデミックにおける研究施設の感染症対策の基本方針により、マウス研究室の立ち入り禁止を含む研究停止と、全てのiPS細胞を用いた研究とが停止した。川崎コホート研究の追跡調査も延期となった。 令和3年度は動物飼育施設が老朽化のために全面リニューアルすることとなり、全てのマウス系統を一度クローズすることとなった。他の母集団を用いた、ゲノム解析結果の再現性の検討(replication study)については、共同研究予定だった国外施設のロックダウンにより進捗が止まっていた。 令和4年2月には、研究代表者が北里大学に赴任することとなり、樹立したすべてのiPS細胞を含めた研究リソースの引越を行った。 これらの不可避かつ複合的な外的要因のために、研究進捗は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
他の母集団を用いた、ゲノム解析結果の再現性の検討(replication study)については、共同研究予定だった国外施設のロックダウンにより進捗が止まっていたが、海外ではwith-COVIDとして学際的活動は再開している。本研究についても、研究期間を延長してこの検討を行うべく、準備をすすめる。 研究進捗が遅れている間に、imuputationのソフトウェアがアップデートされているので、最新の解析アルゴリズムで、これまでの聴力関連SNP研究をさらに洗練されたものとする。 引き続き、遺伝子改変動物とiPS細胞を用いた研究によって、変異に関する生物学的意義を検討するとともに、前向き追跡調査の解析を今後行い、データを追加する予定である。
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Causes of Carryover |
令和2年度は新型コロナ感染症パンデミックにおける研究施設の感染症対策の基本方針により、マウス研究室の立ち入り禁止を含む研究停止と、全てのiPS細胞を用いた研究とが停止した。令和3年度は動物飼育施設が老朽化のために全面リニューアルすることとなり、全てのマウス系統を一度クローズすることとなった。他の母集団を用いた、ゲノム解析結果の再現性の検討(replication study)については、共同研究予定だった国外施設のロックダウンにより進捗が止まっていた。令和4年2月には、研究代表者が北里大学に赴任することとなり、樹立したすべてのiPS細胞を含めた研究リソースの引越を行った。 これらの不可避かつ複合的な外的要因のために研究進捗が遅れ、次年度使用額が生じた。 今後は、繰り越した資金を用いて、本来これまでに行う予定であった研究を進めていく。海外ではwith-COVIDとして学際的活動は再開していることを踏まえ、ゲノム解析結果の再現性のreplication studyは、共同研究予定だった国外施設と再開する。引き続き、遺伝子改変動物とiPS細胞を用いた研究によって、変異に関する生物学的意義を検討するとともに、初年度に調査した被検者についての前向き追跡調査を行い、データを追加する。
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