2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H05545
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
谷口 雄一 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, ユニットリーダー (90556276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川井 隆之 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (60738962)
金 水縁 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (50758886)
大野 雅恵 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (10581738)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 1分子 / 蛍光イメージング / 分析化学 / 生物物理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、1分子蛍光検出の原理を医療検体内の生体分子の検出・分析に適用することで、1分子粒度での分析化学の方法論を開拓することを目指している。初年度となる本年度においては、測定の基盤となる1分子蛍光イメージング顕微鏡の開発・改良を行うのに加え、分子数を計数化するための画像処理システムを開発した。 今回の開発のベースになるのが、代表者らが独自に開発を行ってきたライトシート照明顕微鏡である(谷口、西村 特許6086366号)。同顕微鏡では、カバーガラスの斜め下から薄いシート光を照射し、生じる蛍光を斜めに傾けた対物レンズを用いて捉えることで、顕微鏡視野面にある分子を選択的に励起してイメージングを行うことで、マイクロリットルの液体内にあるすべての分子を個別に捉えることができる。しかしながら、現在のシステムではライトシート照明の厚みのため、顕微鏡の観察焦点面以外にある分子も蛍光励起が起こってしまい、正確で安定した分子数の測定が行えなかった。そこで代表者らは、レンズ・ミラー等の光学系を最適化することでライトシート照明の厚みを最小化するとともに、自ら設計した固定器具を用いることで測定系の安定化を行った。さらには、得られる分子の画像から背景光を除去し、効率的に1分子蛍光スポットを検出するアルゴリズムを開発した。さらに代表者らは、キャピラリ電気泳動装置に同顕微鏡を適用するため、キャピラリの材質・厚み・コーティングについて最適化を行い、実際に明瞭な1分子のスポットを検出することに成功した。現在はさらに、2次元電気泳動を行ってゲル上に展開したタンパク質の1分子検出を進めており、未だ再現性の問題が存在するものの、1細胞の溶解液に含まれる各種タンパク質の定量化が分子レベルで行えるようになってきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は本研究に適した顕微鏡、画像解析システムの開発を行う予定であったが、現段階でほぼ達成し、当初予定していなかったキャピラリ電気泳動や2次元電気泳動への応用の段階まで研究が発展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は現在のところ順調に進捗しており、今後も申請時の研究計画の流れに沿って研究を進めていく予定である。 次年度においては、測定システムのさらなる最適化・改良を進めるのと同時に、1種類または多種類の生体分子の量を超高感度で定量化するアッセイ系の開発を進める。タンパク質量の分析法であるELISA法を1分子分析に適した形に改変する一方で、多種類のタンパク質を分離するための電気泳動法を確立する。実際にヒト培養細胞を用いた解析を実現することを目標とする。
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