2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K20459
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉村 崇 名古屋大学, 生命農学研究科(WPI), 教授 (40291413)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 概年時計 / メダカ |
Outline of Annual Research Achievements |
動物の繁殖、渡りや冬眠、あるいは植物の開花のように、生物の様々な営みには季節のリズムがある。ヒトも例外ではなく、代謝、免疫機能、気分、病気のリスクなどに季節の変化が存在する。生物の身体には概ね1年の内因性のリズムを刻む「概年時計」が存在し、繁殖活動、冬眠、渡りのタイミングを決定している。2017年のノーベル生理学・医学賞に象徴されるように、約1日のリズムを刻む概日時計の分子機構については理解が進んだものの、概年リズムを刻む「概年時計」は謎に包まれたままである。本研究では、あらゆる生物において未解明な概年時計の分子基盤を明らかにすることを目的とした。 まず、屋外の自然条件下で飼育したメダカについて毎月2年間にわたって視床下部・下垂体を採取し、トランスクリプトーム解析を行ったところ、年周リズムを刻む季節変動遺伝子を同定することに成功した。その際に記録した生殖腺重量と日長、日射量、水温の情報をもとに線形回帰解析を行ったところ、メダカは環境からの外部刺激の情報よりも自身の生殖腺重量の履歴を頼りに生殖腺の重量を制御していることが示唆された。また、メダカを実験室内の恒常条件下で飼育したところ、メダカの体内に約6か月周期の内因性のリズムを刻む概年時計が存在することが明らかになった。そこで恒常条件下で約1年のリズムを刻む遺伝子をトランスクリプトーム解析で探索したところ、概年遺伝子を同定することに成功した。概年遺伝子の解析から、幹細胞の分裂・増殖が概年リズムの制御に重要であることが示唆された。
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