2021 Fiscal Year Annual Research Report
滑膜の細胞間ネットワークから紐解く関節の制御システムの全貌
Project/Area Number |
20K20473
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 栄 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (50282661)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 琢 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30456107)
岡田 慶太 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50759173)
千々松 良太 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (60803210)
森 大典 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (60835354)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 整形外科学 / 滑膜 / 関節軟骨 / 関節恒常性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、関節恒常性・関節疾患の中心を滑膜ととらえ、マウスおよびヒト臨床検体を用いた多様な解析手法とシングルセル解析、NGS解析、微小領域発現解析 などの最新の分子生物学的手法を融合させ、関節の制御システムとしての滑膜の役割を、特に細胞間コミュニケーションから解明する計画である。 これまで、マウス関節の変形性関節症(OA)モデルや、関節に対する力学的ストレスを最小限にした関節免荷固定モデル(MMSモデル)を作成し、どの時期に滑 膜、軟骨にどのような変化が出るかを経時的に観察した。また、バルクで滑膜、関節軟骨からRNAを採取し、RNAシーケンスを行って発現遺伝子のデータを得た。また、軟骨の遺伝子変化の原因となる上流液性因子は、主に滑膜から出ていることが明らかになった。さらに、滑膜の細胞を単離してシングルセルRNAシーケン スを行い、滑膜の中でどのような組成変化が起きているか、また、それぞれの組成同士がどのような相互作用をしているかについて解析した。特にMMSモデルの 滑膜では活性化線維芽細胞や骨髄由来マクロファージの組成が顕著に増加し、それらが軟骨変性を促す液性因子を強く発現していることを突き止めた。これによ り、関節運動が滑膜を介して関節の恒常性維持に働いていることが示唆された。 また、人工関節置換術の際に得られる滑膜、軟骨組織を入手し、組織切片を作成して免疫組織化学染色を行うとともに、バルクで滑膜組織、軟骨組織を採取し、 RNAシーケンスを行って発現遺伝子のデータを得た。また、ヒトサンプル滑膜でも細胞を単離してシングルセルRNAシーケンスを行い、滑膜中ので組成変化につい て解析を行った。 これらのマウス、ヒトでの知見を統合することで、関節の制御システムとしての滑膜の役割が明らかになりつつあり、今後さらに研究を進め、OAや軟骨変性の病 態解明、しいては治療探索につなげることを目指す。
|
Research Products
(20 results)