2021 Fiscal Year Research-status Report
Firm metabolism and inter-firm network in aging society
Project/Area Number |
20K20511
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
齊藤 有希子 (梅野有希子) 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (50543815)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 義明 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70423043)
川口 大司 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (80346139)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2025-03-31
|
Keywords | 企業間ネットワーク / 企業退出 / 新陳代謝 / 高齢化社会 / 地域経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化の進む中、企業の新陳代謝において自主的な退出が趨勢となり、倒産による退出が減ったことは、企業のセレクションにおいて、銀行の果たす役割が限定的であることを意味する。本研究は、自主的な退出における企業のセレクションのメカニズムを企業間ネットワークにおける退出の連鎖、地理的なフリクションとともに明らかにすることを目的とする。
初年度に整備した実証分析のためのデータベースをもとに、企業の退出形態による、退出の連鎖の違いについて、特に東日本大震災における外生的なショックを用いることにより、因果関係の識別を試みたが、ショック後の政府介入により、退出率は低下することから、頑強な分析結果を得ることができず、ショックへの対応を生産の調整によるもの(intensive margin)と企業の退出によるもの(extensive margin)に分類し、recoveryなどの動学的な性質の違いを比較することは困難となった。コロナ禍においても、同様に退出率の低下がみられ、他の識別戦略を検討するとともに、企業の異質性に焦点を移して、分析を進めた。特にコロナ禍における退出率の低下は、企業の健全性指標が低い企業で顕著で、企業退出による浄化作用が弱まっていること、企業の財務状態は悪化し、「ゾンビ企業」と定義される企業の数が増えていることなどを観測した。これらの結果は、コラムを執筆して公開するとともに、研究会などでの報告を行い、ワーキングペーパーを執筆した。ワーキングペーパーは、近日中に公開予定である。東日本大震災などのように直接被害とネットワークによる間接被害を識別するのは困難であるが、企業の異質性を考慮し、産業、地域の違いなどを比較することにより、企業間ネットワークの果たす役割について、ネットワークにおける企業業績の相関性やネットワークの変化について分析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に整備した実証分析のためのデータベースをもとに、国際共同研究を進めている。 分析結果のワーキングペーパーなども近日中に公開予定で、さらに分析を深めていく。
|
Strategy for Future Research Activity |
東日本大震災などの経済ショックを因果関係の識別に用いる予定であったが、ショック後の政府介入により、退出率は低下することから、分析に用いることは困難であった。 コロナショックへの政策的な示唆を得たが、因果関係の識別よりも、異質性に焦点をあて、 産業、地域間の比較、国際比較にも取り組んでいく。
|
Causes of Carryover |
データベースの購入
|
Research Products
(8 results)