2020 Fiscal Year Research-status Report
Lateral biasに基づく革新的膜タンパク質機能解析場の構築
Project/Area Number |
20K20550
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平野 愛弓 東北大学, 材料科学高等研究所, 教授 (80339241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
但木 大介 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (30794226)
馬 騰 東北大学, 材料科学高等研究所, 助教 (10734543)
山本 英明 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (10552036)
小宮 麻希 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (00826274)
火原 彰秀 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30312995)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 膜タンパク質機能解析 / 脂質二分子膜 / Lateral bias / 微細加工技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
Lateral biasによって誘起される脂質二分子膜の物性変化を評価するため,脂質二分子膜の光学察系を構築し,プローブ分子を用いた定性的および定量的な解析を開始した.また,Quasi-elastic laser scattering法に基づく,脂質二分子膜の膜張力のその場測定系の構築も進めている.これらの脂質二分子膜の物性計測系の構築と並列して,単純なイオンチャネルを用いたシングルチャネル電流計測を行い,イオンチャネル電流特性に対するLateral biasによる変調作用について,1分子レベルでの定量的解析も行った.また,人工脂質二分子膜測定系のハイスループット化を目指し,16枚の脂質二分子膜を同時に形成し,並列させたアレイ型測定系を構築し,電位依存性カリウムチャネル(human ether-a-go-go-related gene (hERG) チャネル)のシングルチャネルおよびマルチチャネル電流を,複数の脂質二分子膜から同時計測することに成功した(Micromachines, 2021).一方,脂質二分子膜の光操作という観点からの研究も行い,ナノファイバー上のエバネッセント波による脂質二分子膜の補足と輸送可能性について検討し,球状脂質二分子膜リポソームの光輸送に成功し,その最適条件について明らかにした(Optics Express, 2020).この他,脂質二分子膜の絶縁性がその信号伝達に重要な役割を担う神経情報伝達系を対象に,マイクロ流路デバイスを用いた培養神経細胞の回路構造の制御系の構築にも成功している(Japanese Journal of Applied Physics, 2020).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主テーマであるLateral biasのメカニズム解明について,そのために必須となる観察系の構築を行い,プローブ分子を用いた評価を開始している.これと並行して,イオンチャネルへの作用についての定量的解析も進めている.また,派生研究として,脂質二分子膜系のハイスループット化や光輸送に関する成果をあげ,論文として公表しており,当初の予定通り,概ね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に構築した脂質二分子膜の光学観測系を用いて,脂質二分子膜物性やチャネル特性に対するLateral biasの効果について基礎データを蓄積し,Lateral biasのメカニズムについての解析を進めるとともに,その展開可能性について検討を進めていく.
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Causes of Carryover |
コロナ禍により,多くの国際・国内学会が中止またはオンライン開催となったため,旅費が発生しなかった.また,今年度は蛍光測定系の構築が中心となったため,試薬等の実験用消耗品の使用金額が当初の予定よりも大幅に削減されたことも残額が発生した要因となっている.2021年度は,構築した測定系を用いた計測実験を重点的に進めるため,蛍光試薬等の高額消耗品費の増大が想定される.さらに,研究室に所属する学生の人数も増える予定であり,こちらも消耗品費の増大を加速するため,2020年度に生じた次年度使用額を活用して,消耗品費の増大に充当する予定である.
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Research Products
(21 results)