2021 Fiscal Year Research-status Report
病原微生物のその場メタゲノミックタイピング手法の研究開発
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20K20616
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 昇太 大阪大学, 微生物病研究所, 特任准教授(常勤) (90432434)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 感染症 / 病原体検出 / 次世代シークエンス / 医療システム / クラウドコンピューティング |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は昨年度に構築したクラウド解析基盤上に、メタゲノムに対するタイピング用アプリケーションの開発を行うとともに、核酸抽出手法やライブラリ調製方法の最適化について検討を行った。構築したクラウド解析基盤の構成は、MinIONデバイスに直接接続されるエッジレイヤー、データの解析処理を実際に担当するフォグレイヤー、外部からの解析結果閲覧やデータ保持等を担当するクラウドレイヤーからなる3つのレイヤーから成っている。これらのうち、大阪大学内に構築されていたクラウドレイヤーを利便性・スケーラビリティ確保のために商用クラウド(Amazon Web Service および Google Cloud Platform)のノードを追加するとともに、薬剤耐性をはじめとした表現型の予測を行えるよう機能拡張を行った。またメタゲノム解析のための核酸抽出法としてシリカビーズによる細胞破砕をベースとした手法の検討を行い、市販のカラム精製法などに比べてゲノムDNAの検出限界が1/10程度かつ、低濃度においても細胞数と抽出DNA量が線形を保つDNA抽出手法を確立することができた。低濃度ゲノムDNAからのライブラリ調製方法についても検討を行い、Qiagen REPLI-g を用いたゲノム増幅手法によるライブラリ作成により10 pg 程度の低濃度DNAからでもバクテリアゲノムを均一にシーケンス可能な方法を確立できた。2022年度はこれらの結果を踏まえ、解析基盤を用いて実際に検体の解析を進め、メタゲノムタイピングの性能について評価を行ってゆく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は基盤システムの拡張およびメタゲノム解析のための実験の最適化を進めた。特に生物量の少ない検体からの配列解読を行うために、核酸抽出方法およびその増幅方法について最適化を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度までに構築した解析システム基盤上の機能拡張を進め、現在構築している非結核性抗酸菌に加え、他菌種のゲノム配列からデータベースを構築することで、網羅的な細菌同定を実現する。また臨床検体等からの菌種同定を試み、解析システム基盤の評価を行ってゆく。
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