2020 Fiscal Year Research-status Report
Cultural Policies toward an Inclusive Society for Resident Foreigners: A Comparative Study between Japan, Korea and Singapore
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20K20675
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
閔 鎭京 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (80431386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝倉 由希 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (90647687)
南田 明美 九州大学, 芸術工学研究院, 特別研究員(PD) (50886687)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 文化政策 / 多文化共生 / アートマネジメント / 在留外国人 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.共同研究「日本における在留外国人を対象とした文化政策の現状と課題」 日本は人口減少を背景に,外国人の受け入れを拡大しており,在留外国人が増加している。国における文化政策の方針では、文化芸術は在留外国人を含めあらゆる人々に社会参加の機会をひらく社会包摂の機能を持つとしているが、具体的な施策はまだ十分に展開されていない。自治体の政策を見ると、いくつかの先進的な自治体では多文化共生政策と文化政策の接続が見られ,文化芸術を通じた外国人との交流や、外国人の文化へのアクセシビリティの確保、外国人がもたらす多様性を地域の活力にすることの重要性等が政策に掲げられている。外国人を対象としたアート・プロジェクトの事例調査からは、地域の実態に応じた支援や関係機関との連携、適切なプログラム開発とそれに向けた研修の機会が必要であることが指摘できる。政策が理念で終わらないように、さらに実態を調査し現場の課題やニーズに対応した、具体的な支援のあり方を検討することが必要である。
2.南田明美「コスモポリタン都市シンガポールにおける見えない境界線と外国人労働者問題:演劇・文学作品/運動から考える日本への示唆」 本研究は、シンガポールにおける在留外国人を対象とした文化政策の現状と課題を検証す る。とくに「芸術文化諮問委員会レポート」が発表された 1989 年以降に着眼点を当てる。さらに、シンガポール人の外国人労働者に対する反応を考察するために、演劇・文学作品、それに係る芸術運動を事例として扱う。そのことを通して、政府の芸術政策が外国人労働者誘致に関与してきた一方で、市民芸術団体(市民社会)が外国人労働者の「声なき声」を拾い、外国人労働者問題を可視化してきたことを示す。本研究は、シンガポールの文化政策に新しい視座を与えることのみならず、日本の文化政策における多文化共生戦略を構築していくための一助となることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本とシンガポールの研究成果として、日本文化政策学会で2つの研究発表をおこなうとともに北海道教育大学紀要に論文投稿した。 日本の「文化政策における多文化共生」について調査している中で、先行研究および基礎資料が極めて少なかったため、今年度は日本の現状を把握することに重点を置いて研究に取り組んだ。それによって、韓国の研究成果の発表は次年度に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.研究計画 ・2021 年4 月 ~2022年1月 文献調査 (3ヵ国): 3ヵ国において、在留外国人を対象とする自治体の文化政策の現状、アートプロジェクトの全体傾向を調査する。・2021 年5 月 ~9月 文献調査 (韓国・シンガポール): 2ヵ国において、在留外国人に関する国の政策とその社会的背景、アーツカウンシルの事業の現状を調査し、比較研究を行う。・2021 年5 月 ~2022年11月 現地調査 (日本) :在留外国人を対象とするアートプロジェクトの資料収集を行うとともに全体の傾向を把握する。活動を継続している対象があれば、インタビュー等を用いて深める。現在、韓国とシンガポールへの移動が可能になった場合は、現地に出向いて調査するが、それ以外は、オンラインインタビュー等を活用し、資料収集したいと考えている。 2.研究発表・論文投稿 2021年12月 日本アートマネジメント学会研究大会「日本における在留外国人を対象とするアートプロジェクトの現状(仮)」・2021年9月 北海道教育大学紀要「韓国・シンガポールの文化政策における多文化共生事業の現状(仮)」
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Causes of Carryover |
パソコンの購入を令和2年度に計画したが、令和3年度に変更する予定である。 新型コロナウイルス感染対策のため、旅費を使えなかった分は令和3年度に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)