2021 Fiscal Year Research-status Report
Cultural Policies toward an Inclusive Society for Resident Foreigners: A Comparative Study between Japan, Korea and Singapore
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20K20675
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
閔 鎭京 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (80431386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝倉 由希 公立小松大学, 国際文化交流学部, 准教授 (90647687)
南田 明美 九州大学, 芸術工学研究院, 特別研究員(PD) (50886687)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 多文化共生 / 在留外国人 / 多様性 / 文化政策 / アートマネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は日本の在留外国人に対する文化事業の実態を調査するとともに以下の2つの研修・シンポジウムの機会を持った。 1.東京芸術劇場職員向けレクチャー(7月28日) 東京芸術劇場は2021年から多文化共生に関する事業「シアター・コーディネーター養成講座≪多文化共生・基礎編≫を開始したが、その企画作りに参考となる3つの事例を紹介した。①可児市文化創造センターala「多文化共生プロジェクト」、②若葉町「Art Lab Ova」、③「にほんごであそぼう」(実施主体:小野市国際交流協会×小野市うるおい交流館エクラ×兵庫県立ピッコロ劇団)。本研究メンバー3名は文化施設と国際交流協会や外国人コミュニティとの連携の重要性を論じ「文化仲介者」の必要性や役割について言及した。 2.シンポジウム「多様な文化と社会包摂の未来を考える」開催(10月21日) 九州大学アジアウィーク2021の一プログラムとして、多様な背景を持つ人々を包摂する社会の実現に向けた芸術文化の在り方について考えることを目的に、オンラインシンポジウムを開催した。第1部シンポジウム「在留外国人のための文化政策と都市―日本およびアジア諸国の事例比較から」では日本・韓国・シンガポール・オーストラリアの事例報告と議論を行った。第2部では日本人と外国人が共同で演劇を作る可児市文化創造センターala「多文化共生プロジェクト」、フィリピン人労働者の介護仕事を題材とした演劇『Pamilya(パミリヤ)』、小野市の劇団によるワークショップ「にほんごであそぼう」の3本の実践報告及びディスカッションを行った。またそれに先立ち、「にほんごであそぼう」の実施団体の兵庫県立ピッコロ劇団の担当者等による「体験型オンラインワークショップ」を行った。全体を通して排斥、排除、多様性、包摂と多文化社会構築/間文化社会に向けた様々なキーワードを再考察する契機になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
韓国とシンガポールは現地での調査が困難な状況であったが、インターネットを活用し、資料収集とともにzoomによるオンラインインタビュー調査を行う等、現状を把握している。 日本については、2020年度以降実施している「在留外国人の文化芸術活動」の基礎データを整備しつつ、現地訪問調査とインタビュー調査を行い、実態を整理している。 現在、5月31日〆切の日本アートマネジメント学会誌に投稿を予定しており、共同論文の執筆を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
韓国とシンガポールの新型コロナウイルス関連の入国規制が緩和されているため、今年度は韓国とシンガポールでの現地調査を考えている。インターネットでは入手できなかった資料等を収集するとともに、在留外国人関連の文化政策を担当している機関や文化芸術活動の現場を訪問し、関係者らにインタビューすることで、現状把握と課題整理を進める。 また、自治体の文化支援の役割を担っている地域のアーツカウンシルを対象に、シンポジウムを開催する予定である。現在、地域のアーツカウンシルの中で、在留外国人関連の文化芸術活動に対して支援を行っているところは非常に少ない。在留外国人の課題はそれぞれの地域によって異なり、まずはその課題を認識することが重要だと考える。アーツカウンシルが設置されている地域が直面している問題点について話し合い、実態を共有する。それを踏まえて、文化芸術が持つ社会包摂機能を考えつつ、多文化共生を実現するための支援のあり方等を模索する場を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症対策に伴う入国規制が続いていたため、韓国とシンガポールでの現地調査が実現できず、次年度使用額が生じた。今年度が規制が緩和されているため、渡航する予定である。
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Research Products
(2 results)