2020 Fiscal Year Research-status Report
ゲーム芸術とアニメ芸術の倫理 社会的義務の記録と実装
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20K20688
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
渡辺 修司 立命館大学, 映像学部, 准教授 (90469164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 和敏 立命館大学, 映像学部, 教授 (10757032)
竹田 章作 立命館大学, 映像学部, 教授 (30756185)
斎藤 進也 立命館大学, 映像学部, 准教授 (70516830)
奥出 成希 立命館大学, 映像学部, 教授 (80756792)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | デジタルゲーム / アニメーション / 作家 / 倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究採択が確定した9月時点で、すでにコロナ禍の影響を受け業界全体が強い危機感と委縮があり方向の変更に迫られた。結果的に、次年度に行えるアンケートを行うためのアンケート技法、および最終年度に向けた作品構想を構想するための研究会を開催した。研究会において、以下の2点が創発され、結果的に質的なジャンプアップを手に入れるに至った。 【1.「作家の家族」と「作家」を小社会と見立てたアンケート技法】:アンケート対象者に、作家が感じうる最も身近な「作品から間接的に影響を受ける社会」の象徴として「作家の家族」を選出した。これは現実社会とアニメ・ゲームの「相似」を成すものである。【2.ゲーム体験の中で体験者自体がアンケートを行い比較できる体験の提供】:「アンケート技法」を直接ゲーム作品の中に入れ込むという作品性、および先人のアンケート結果と自分の関係を比較ができるという作品形式が創発された。 21年度は、以下の3つを並行して計画している。【1,アンケートとその分析】上村晃弘氏を研究協力者とし分担者である斎藤が行う。デジタル上で「作家用」と「作家の家族用」の2つのアンケートを用意し、6月をめどに協力者をハブとして複数の作家とコンタクトを開始し、その家族にアンケートを依頼する。【2.作品プロトタイプの作成】研究代表者の渡辺、および分担者の竹田、奥出、飯田が担当する。、プロトタイプの作成を開始し、最終的には22年3月にプロトタイプの完成を目指す。【3.先人の映像記録】最初期のアニメ・ゲームクリエイターは、映像記録を残すことを計画するが、コロナ禍に対応した個別判断を行いながら研究代表者の渡辺が担当する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度計画では、アニメ・ゲーム業界においてすでに関係性がある研究協力者をハブとして、近隣の業界関係者へのインタビューとアーカイブを行う計画であった。しかし、研究採択が確定した9月時点で、すでにコロナ禍の影響を受け業界全体が強い危機感と委縮があり、協力を強く推し求めることは最適ではないと判断した。結果的に、次年度に行えるアンケートを行うためのアンケート技法、および最終年度に向けた作品構想を構想するための研究会を開催した。これは当初の計画の段階である、①情報蓄積→②評価→③作品制作という手続きにおいて、③から始めることを意味し、最終的な結合(③作品制作)において、時間的ロスが発生してしまう。この点から進捗状況としては遅れがあると判断した。一方で8回程度行われた研究メンバー全員との研究会において、以下の2点が創発され、結果的に質的なリープを手に入れるに至ったと考察している。 【1.「作家の家族」と「作家」を小社会と見立てたアンケート技法】:当初、アンケート対象者は、研究協力者をハブとした「作家」のみであった。上述の通り今後の見通しも明るくなかったこともあり、対象者を拡大させた。代案として「作家の家族」をアンケート対象者に追加した。これはネガティブ案件への対応という意味だけではなく、作家が感じうる最も身近な「作品から間接的に影響を受ける社会」の象徴である。これは現実社会とアニメ・ゲームの「相似」を成すものでもある。 【2.ゲーム体験の中で体験者自体がアンケートを行い比較できる体験の提供】:当初、主題として検討されていたアンケートの「結果」を「分析」し評価したゲーム化を構想していたが、「アンケート技法」を直接ゲーム作品の中に入れ込むという作品性、および先人のアンケート結果と自分の関係を比較ができるという作品形式が創発された。
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Strategy for Future Research Activity |
21年度は、以下の3つを並行して計画している。 【1,アンケートとその分析】デジタル上でコロナ禍においても進行できるgoogleフォームを用いアンケートを構築する。このときのアンケートは、「作家用」と「作家の家族用」の2つが用意される。6月をめどに協力者をハブとして複数の作家とコンタクトを開始し、この作家を通してその家族にアンケートを依頼することとした。またアンケートの分析には社会学者として上村晃弘氏を研究協力者とし、分担者である斎藤と行う。また、 【2.作品プロトタイプの作成】研究代表者の渡辺、および分担者の竹田、奥出、飯田を中心に、プロトタイプの作成を開始する。すでに過年度のおいて各種ゲーム形式の調査やツールの策定を開始しているため、これを用いて具体的な作品形式を実装していく。最終的には22年3月にプロトタイプの完成を目指し、翌年度への本制作につなげる。 【3.先人の映像記録】特に最初期のアニメ・ゲームクリエイターは、映像記録を残すことを行っていく予定だが、対象者が高齢である点もあり、コロナ禍では判断が難しく、同時にZOOMなどのツールといった課題もあり、個別判断を行いながら研究代表者の渡辺が担当する予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画の執行の変更に伴い、以下の3点から次年度予算への変更をおこなった。 【1.アンケート・アーカイブに伴う執行】アンケートを実態として行わなかったため、すべて次年度使用に繰り越すこととした。【2.国際カンファレンスの参加交通費用】国際カンファレンスが開催されなかったり、規模が縮小されオンライン開催となったことを受け、これに掛かる執行は全額次年度に変更となった。ただし21年度開始時点においても交通費を伴う参加は不透明であり、研究計画として最終年度の作品発表をオンラインで行うための予算として計画判断を行う予定である。【3.機材購入】最終的な開発のために必要となる調査用の機材のみ現時点では執行しているが、最終的な開発コンテンツが明確化しつつあり、プロトタイプ開発用機材を、次々年度の本開発機材と合わせて調達用の予算計画にするとともに、プロトタイプ開発のアルバイト代とする。
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