2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K20761
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
小黒 曜子 明海大学, 経済学部, 准教授 (30585253)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | インフレ率 / バイアス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主たる目的は、日本の消費者物価指数でみた公式インフレ率のバイアスについて、先行研究とは異なる理論的・実証的アプローチにより、これまで見落とされてきたバイアスを拾い上げ、日本における真の生計費の上昇率を計測し、分析することである。従来の主流な研究は、インフレ率のバイアスに対して、ミクロ的アプローチを試みている。本研究のエンゲル曲線を用いたマクロ的アプローチでは、ミクロ的アプローチで捉えきれなかったバイアスも確実に捉えることが出来る。具体的には、エンゲル曲線が時間を通じて安定的であることを前提として、コントロール変数を用いても説明出来ないエンゲル曲線のシフトをインフレ率のバイアスと捉えるという手法である。 当該年度の研究では、エンゲル曲線に基づいて求められる日本の公式インフレ率のバイアスの要因の分析を進めてきた。エンゲル曲線に基づいて修正されたインフレ率は、公式データの消費者物価指数ベースインフレ率よりも、振幅が大きい傾向を確認している。これまでの分析からは、1990年から2022年の期間について、日本の場合には、総合CPIインフレ率よりも食料CPIインフレ率の方が変動が大きく、エンゲル曲線に基づいたインフレ率のバイアスは、食料CPIインフレ率の影響を最も受けていることを確認している。更に、インフレ率が高いほどインフレ率のバイアスは小さくなる傾向、インフレ率がプラス(マイナス)の時にはインフレ率のバイアスはマイナス(プラス)の傾向だが、インフレ率の絶対値が小さい時にはバラツく傾向についても確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度もコロナの影響により、海外の学会・カンファレンスに参加することが難しく、有意義な議論の機会が大幅に減少してしまったことの影響は否めない。ここ数年、社会情勢が大きく変わったことで、研究の方向性に多少の修正が必要になったことも理由としてある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画を基に進めていく予定であるが、ここ数年のコロナ禍という社会情勢の変化もあり、研究の方向性に多少の修正を考えている。 社会の情勢を組み込みながら、精度の高い研究成果となるよう、丁寧に研究を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
当該年度までコロナの影響により、海外の学会・カンファレンスに参加することが難しかったことが理由である。国内・海外の学会に参加するために使用させて頂きたいと考えている。
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