2020 Fiscal Year Research-status Report
International Research on Quasi Public Housing as Safety-Net Preparing in Large-scale Disasters such as Tokyo Inland Earthquake and Nankai Trough Mega Earthquake
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20K20781
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山地 久美子 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 客員研究員 (20441420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北後 明彦 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (30304124)
山崎 栄一 関西大学, 社会安全学部, 教授 (00352360)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 準公営住宅 / 災害公営住宅 / 社会保障 / 住宅政策 / 被災者支援 / 国際比較 / 阪神・淡路大震災/東日本大震災/熊本地震 / ニュージーランド/カンタベリー地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研では社会学、建築学、法学など学際的な視点で研究を進めてきている。本年度は新型コロナウイルス感染拡大の社会状況を受け、国際比較と現地調査を柱とした研究計画から、研究会を中心とした研究体制へ変更し調査研究を進めた。 1つは「災害時社会保障と住宅政策研究会」を柱とした専門家との意見交換、調査研究の課題抽出をオンライン研究会で実施した。5回開催した研究会では日本の住宅政策、法制度およびニュージーランドの社会保障の研究者より専門的知識の提供を受けた。そこでの議論により本研究の挑戦的な目的の重要性、研究展開の方向性を確認でき、次年度の調査体制、考察方法を明確にすることができた。 2つめは被災者が「避難所→仮設住宅→恒久住宅」と移行することで負担が大きくなっている課題を検討した。そこで、恒久住宅を始点とした住宅の支援策と新たな制度設計を検討している。 3つめは日本およびニュージーランドともに研究協力者との意見交換やこれまでの資料により調査の準備を進めることができた。 なお、住宅研究では制度や法律研究、量的調査の実施などが主になり、当事者の意見を反映する仕組みが少ない。被災者の声を聞き、今後の支援に繋げる方法として災害後の住宅については災害の語り部・語り継ぎなどの取組みも合わせて行うことができるため、その観点を含めた調査を行った。本年度は災害語り継ぎにかかる映像制作へ新たに取組むとともに、日本とニュージーランドの災害語り部の国際比較研究を日本災害復興学会の分科会としてオンラインで行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、国内外の出張が行えなかった。日本国内の被災地や行政調査、ニュージーランド現地調査を実施できないことから本年度の研究計画は修正せざるを得なかった。資料調査も一時資料の調査で図書館利用などに制限がかかり、web上での調査が主となった。その一方で、オンライン研究会を通じて多分野の専門家からの研究協力を受け、専門的知識の提供によって本研究課題の新たな展開方法を検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では新型コロナウイルス感染拡大防止対策の改善、社会生活の回復を前提として、日本とニュージーラーンドでの現地調査の実施を目標としている。 ニュージーランドとの比較研究を通じて、社会保障としての住宅支援と自然災害時後の特別な対策としての住宅支援を検討し、住宅政策として繋げるための仕組みについて調査を進める。日本では大規模災害のセーフティネットとしての平時と連続した制度設計が求められているところであり、一時的に増える被災者への住宅確保と平時の住宅のバランス、大規模な広域避難に耐えられるような、被災者と居住先との連携の仕組みについて検討を進める。 また、災害の語り継ぎは被災時の経験に内容や関心が集中していることから、災害後の復興や住宅確保の重要性を災害の語り継ぎの中に含め得るか、被災者の声を防災・減災施策の中に取入れる仕組みとして、また、被災者支援における住宅の支援制度と実態の乖離を埋める方策の一つとして検討する。
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Causes of Carryover |
2020年初頭から新型コロナウイルス感染拡大により世界中が混乱し、渡航制限や緊急事態宣言などの発令により、国内外の出張ができなかった。本研究は国際比較を柱に現地調査を踏まえた研究であるため諸調査が実施できず、次年度での調査実施へ計画を修正したため。
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Research Products
(12 results)