2020 Fiscal Year Research-status Report
住民の地域活動を支えるために企業が創出する市民ファンドに関する実証的研究
Project/Area Number |
20K20789
|
Research Institution | Japan College of Social Work |
Principal Investigator |
倉持 香苗 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 准教授 (40469044)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 市民ファンド / 地域共生社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度にあたる2020年度は、後述するように、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う膨大な学内業務に追われ、ほとんど研究に着手することができなかった。唯一、実施できた内容は、全国の市民ファンド団体を調べ、リスト化したことである。 わが国においては地域共生社会の実現が目指されている一方、地域住民の主体的な活動に対する支援は十分であるとは言い難い状況にある。また、地域で共に支え合う関係を構築するためには、地域住民や社会福祉関係者および関係機関のみならず、地域を構成する一員として、一般企業も含めて方策を考えることが重要であると筆者は考えている。例えば、社会福祉法の改正に伴い社会福祉法人の公益活動が位置付けられたが、一般企業も地域を構成する一員として捉えれば、地域全体が、それぞれの役割を果たしながら、地域共生社会を目指した活動を推進することができるのではないかと考える。 とりわけ本研究は、市民ファンドに焦点を当て、地域社会を構成する一員が地域共生社会を実現するためにどのような参画が可能となるのか、その可能性を検討するものである。 当初の研究計画においては、初年度である2020年度に全国の市民ファンド団体を対象としてアンケート調査を実施する予定であった。研究は大幅に遅れたものの、アンケート調査の対象先をリスト化する作業を実施することができた。具体的には、インターネットを活用し、市民ファンド団体のホームページや関係資料から情報を収集し、リスト化する作業をおこなった。次年度以降は、調査の実施及び分析を進める予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は、本研究申請時には予期していなかった出来事が生じた。具体的には、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言発令に伴い、大学における講義および実習に関する教育方法(内容)が大幅に変更になったために、学内業務に専念せざるを得ない状況に陥った。そのため本研究の要となるアンケート調査の実施に至らなかった。 また、地域Aの市民ファンド団体の事例研究(参与観察)に関しても、新型コロナ感染拡大の影響を受けた。具体的には、積み立てた基金の配分先を決定する際に地域住民も参加する(イベントを開催する)仕組みを構築していたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、住民参加型のイベント内容及び方法が変更され、参加型の企画を実施することができなくなり、当日の参与観察は状況把握に止まった。 なお、本報告書執筆時点において、2021年度も新型コロナウイルスの収束が見込めないことから、従来おこなわれてきた市民参加型の企画実施は変更を余儀なくされる旨が予想されるが、今後の研究推進方策については後述の通り検討している。
|
Strategy for Future Research Activity |
先述した状況を踏まえ、本研究課題の今後の推進方策について見直しをおこなった。2021年度は、前年度実施できなかったアンケート調査を実施する。主な調査目的は、①市民団度団体の運営体制を把握すること、②市民ファンドの募集から配分の決定に至るまでのプロセスを明らかにすることである。各プロセスに地域住民がどれだけ関わっているかについて明らかにしたい。 また、地域Aにおける市民ファンド団体の参与観察に関しては、本研究においても多少の変更が生じる可能性がある。しかし現時点においては、地域Aを基盤とする活動である旨は変わらないため、引き続き参与観察を継続する計画を立てている。また、参与観察の補完として、これまでの活動に関するインタビュー調査等の実施を検討している。 アンケート調査結果を基にした市民ファンド団体の類型化やインタビュー調査の実施等については、2022年度以降に実施する予定である。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、先に述べた通り、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、研究が大幅に遅れたことである。そのため郵送によるアンケート調査を実施することがでず、郵送料をはじめとする調査関連の支出や、インタビュー調査など移動を伴う研究に関する支出が次年度分に繰り越された。 次年度はアンケート調査を実施する予定のため、前年度未使用の助成金を使用する計画である。
|