2021 Fiscal Year Research-status Report
ICTでのSociety5.0対応チーム学校の実効化:担任と養護教諭の「溝」解決
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20K20812
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
野村 純 千葉大学, 教育学部, 教授 (30252886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土田 雄一 千葉大学, 教育学部, 教授 (10400805)
高木 啓 千葉大学, 教育学部, 准教授 (90379868)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 養護教諭 / 一般(担任)教諭 / 養成の溝 / ICT教育 / GIGAスクール / 保健教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
養護教諭養成と一般教諭養成はそれぞれ別のシステムで行われており、カリキュラムベースで20%以下の重なりしかなく、重なる部分も一般教養であり、教員としての資質能力にかかわる部分では共通する授業はない。また養成者も全く異なるバックグラウンドであり、それぞれにどのように養成しているかについての共通理解を図る機会や場所も存在しない。このため個二つの教員はそれぞれ別々に要請が行われ、共通理解のないまま学校に配置されている。これが原因となって学校内での情報共有などにおいて溝が生じている可能性が考えられる。本研究では両者の溝について調査するとともに、これを補完するICTの活用方法について研究を進めている。令和3年度においては最新の傷の手当てに関する知識の正確性の差について調査を進め、養護教諭と一般教諭では差があることを示唆するデータを得た、また、保健教育は保健の時間に行われているが担当教諭が困難感を抱えていることを明らかにした。また、この解決策として、GIGAスクール構想によって整備が進んだICTを活用して養護教諭がオンラインでTTに入る支援を行った。この授業方法により担任教員が抱える保険の授業実施における困難感を改善し、授業に内容の高度化などができる可能性をしました。ICTを活用してのTTの方法としては、教室前方に設置したモニターを活用し、担任と養護教諭が対等の立場で授業を行い、特に専門性が求められる場面で養護教諭が授業を実施するものと、養護教諭は教室の後ろに配置されたモニターより参加し、必要に応じて子供たちの疑問に答えるものの2通りを試行した。これらは両方とも有効に働くことを示した。また、この発展課題として、高校において女子生徒が抱える生理前の体調不良の実態について調査し、今後どのように教員が共同するべきかについて考える基礎データを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度に、保険の授業の実施に当たり担任教諭が困難感を抱えていることを明らかにし、また、この解決策としてICTを用いて養護教諭と担任教諭が協働で授業を行った。この授業実践の事例をまとめ日本学校保健学会において発表したところ、注目すべき研究として取り上げられ、特別に視聴するように学会員に紹介された。また、10年前より日本でも普及し始めた新しい傷の手当である湿潤療法が、学校では行われていない実態に着目し、担任教諭と養護教諭の間での湿潤療法に対する知識と理解の差について調査を行った。この結果、養護教諭に比べ担任教諭はこの治療に対する知識と理解が少ないことが示唆された。さらに、保健課題に関する知識の共有は生徒の学校生活のQOL工場に必須であるが、十分な科学的根拠が示されていないものも多く、このために、一般教員との情報共有が困難なものもある。この一つとして女子生徒の生理前の不調があるが、この実態について既存の成人向け調査方法の妥当性を事前に検討したうえで調査を行い、個基礎データを得ることに成功した。これらの結果は、アジア・アセアン教育研究センターの年次集会において報告した。海外の教員からも注目されるとともに、女性教員からは共感を持って受け止められており、日本だけでなく海外でもジェンダー関連の問題を含め、教員の健康課題への理解と共有に課題があることを認識した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度に行った傷の手当てに関する調査結果についてさらに分析を進めるとともに、さらに確認が必要な事柄については調査を実施する。また、現在、理科教員の実験授業の安全に対する取り組みと知識についての調査を教育学部附属学校及び教育委員会との連携のもと計画している。この調査結果についても分析を進める。これとと同時に養護教諭と教諭間での事故等の問題発生時のコミュニケーションミスについてもどのようにどれくらいの頻度で発生するかについてN市の養護教諭会とともに調査を進めている。これら調査についても分析を進め、総合的に考察す計画である。 さらにこれらを受けてICTを活用した両者のコミュニケーションを補助する方策について検討を進める。
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Causes of Carryover |
調査はおおむね順調に進んでいたが、理科教員に対して実施することにしたアンケートの実施許可を教育委員会に申請する際に、この研究調査の担当者が代わっており、再度手続きを最初から踏む必要が生じた。このため想定よりも許可が下りるまでに時間がかかったためアンケート開始が年度内に行えなかった。現在、すでに許可が下りており、早急にアンケート調査を実施予定である。このため研究活動に支障はないと考えている。
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Research Products
(7 results)