2022 Fiscal Year Research-status Report
認知症との関連性/相違点を視野に入れた高齢期発達障害者に関する研究
Project/Area Number |
20K20871
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
緑川 晶 中央大学, 文学部, 教授 (90421833)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
|
Keywords | 発達障害 / 認知症 / 自閉症スペクトラム / 前頭側頭型認知症 / ケアマネージャー |
Outline of Annual Research Achievements |
長い間、自閉症スペクトラムは幼少期の問題として認識されてきたが、近年になって成人期、そして高齢期の問題としても捉えられるようになってきた。しかし、その実態は未解明なままである。自閉症スペクトラムの高齢者は、その多くは未診断と思われる。さらに高齢期の診断を難しくしているのは、高齢期における自閉症スペクトラムの特徴が前頭側頭型認知症の症候と類似していることが挙げられる。 成人期を対象とした研究からは、自閉症スペクトラム者の支援に当たっては、支援者に対する研修が重要であると言われているが、高齢期におけるスタッフにおいても同様と推察される。しかし、高齢者支援を専門とする介護スタッフが、高齢期の自閉症スペクトラムに関する知識や経験がどの程度あるのか、また、特徴的な行動に対してどのように見立てや対応を行っているか明らかではない。そこで本研究では高齢者支援に従事する介護スタッフが、自閉症スペクトラムに対する知識や経験をどの程度有するか、また、知識や経験が見立てや対応にどのように影響するか検討することを目的にアンケート調査を実施した。その結果、自閉症スペクトラムなどの発達障害に関する知識は、認知症に関する知識と同程度であることが確認された。また、介護スタッフは高齢期の特徴的な行動について一定の割合で発達障害に帰属させていたが、自閉症スペクトラムの行動特徴を改めて提示することで、認知症への帰属が減少し、発達障害への帰属が増加することが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のため2020年度の研究の遂行が著しく滞ってしまい、その後に徐々に遅れを取り戻しているところであるが、まだ遅れの余波が残っているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでは地域包括支援センターや居宅介護事業所の福祉領域のスタッフを対象として調査を行ってきたが、今後は認知症の評価や鑑別に日常的に携わっている認知症疾患医療センターの心理職を対象に、高齢期の発達障害に関する調査を行うことを計画している。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍により初年度の開始が大幅に遅れたことが一因ではあるが、研究を実施するにあたって医療現場における診断の問題が浮き彫りになり、スタッフに対する調査の必要性が新たに生じたため、2022年度の執行分を調整し2023年度に振り分けを行った。
|
Research Products
(12 results)