2022 Fiscal Year Annual Research Report
応力発光の新展開_量子ビームを用いたアトミックスケール発光機構の研究
Project/Area Number |
20K20912
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
鄭 旭光 佐賀大学, 理工学部, 教授 (40236063)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 一宏 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (60444395)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 応力発光 / ミュオンスピン緩和 / ミュオニウム緩和 / 発光過程の動的解析 / 強磁性 |
Outline of Annual Research Achievements |
応力発光物質は、低い力学刺激でも発光することから、バイオイメージング、応力分布可視化・破壊予知・亀裂診断など、人工骨から橋梁やタンクなどの巨大建造物の健全性診断まで適用でき、中高期に入った社会インフラ等の保守点検および安全・安心な社会を支える要素技術として強く期待されている。中でも、圧電体を母体材料とした応力発光材料は、さらに様々な電子制御機能が可能になることから、電気―力―光の多元変換が可能というポテンシャルをもつことで、応力発光の新展開が期待されている。しかし、今までの研究は応力発光の性能向上と材料開発を中心に行わってきており、これら画期的な応力発光性に潜むメカニズムは、実質上、現象的な考察しか行われていない。メカニズムの解明は、本格的な新学術領域展開のカギとなる。 上記ダイナミックな相互作用を調べられる実験手段が非常に乏しく、これが今までのメカニズム未解明の主因である。この現状を打破する実験手段として、ミュオンスピン緩和に着目した。ミュオンは135.53MHz/Tという巨大磁気回転比を持つため極めて敏感な磁針となると共に、内部磁場の大きさや揺らぎを実時間(時間分解能~0.4-70ナノ秒)で捕らえることにより物質の様々な性質をアトミックスケールで明らかにする微視的な手法である。本研究は核磁気をもつ発光中心の希土類イオン、及び欠陥にトラップされた発光中心由来の電子両方の様子と相互作用の動的過程を検出・究明できると着想し、ミュオンビームを使って初期実験を行った結果、ミュオンスピン緩和が応力発光性と強い相関があることを発見し、更なる研究の指針を得た。さらに酸化物応力発光体の単結晶成長に成功し、ミュオン実験による応力発光の動的過程の本格化に成功している。同時に応力発光低次元結晶において新規強磁性を発見した。
|
Research Products
(2 results)