2020 Fiscal Year Research-status Report
Dynamic fluctuation characteristics of cellular force generations and solid mechanical roles during organogenesis
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20K20958
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
奥田 覚 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 准教授 (80707836)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 生体力学 / 計算力学 / メカノバイオロジー / 機械材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、マルチスケールな力学シミュレーション,および,多能性幹細胞を用いた網膜オルガノイドの力学的摂動実験を組み合わせ,理論・実験の相補的アプローチを行う. まず、器官形成における組織の変形や機械物性の制御機構を解明するため,分子レベルから多細胞レベルまでのマルチスケールな力学シミュレーション手法の開発に着手した.本年度は特に、長時間スケールにおける多細胞の三次元動態をサブセルラーレベルから扱うため、新規の三次元細胞膜モデルを開発した。この膜モデルでは、細胞の輪郭形状を三角形メッシュによって離散的に表現した。また、この細胞膜の運動を粘性流体と見なし、慣性を無視した運動方程式によって記述した。さらに、細胞膜を記述する三角形メッシュを動的にリメッシュすることにより、細胞膜の大変形を計算することが可能となった。このリメッシュ操作による膜形状の変化やエネルギーの変化は軽微であり、数理モデルの妥当性が示されている。加えて、細胞の成長や分裂、細胞間の接着等の振る舞いの数理モデル化にも着手している。 また、実際の器官形成におけるアクティブなゆらぎの特性を知るため,多能性幹細胞から誘導した網膜オルガノイドにおいて,細胞骨格のゆらぎを定量化する系の構築に着手した.本年度は特に、アクチン細胞骨格や細胞膜等の関連分子を標識したマウス胚性幹細胞を作成した。また、分化誘導によって、網膜オルガノイドを効率よく作製する条件を同定した。 開発技術の一部を論文として投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で実験活動ができない時期があったため、遺伝子改変を行った細胞の作製は遅れているものの、数理モデルの開発は予定よりも進んでいるため、全体としては順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、昨年度に開発した膜モデルに対して、高分子物理学に基づくアクチン細胞骨格構造の粗視化モデルを導入し,三次元の細胞要素モデルを開発する。これにより、細胞膜・細胞骨格動態の連成解析を実現する。また、昨年度に作成したマウス胚性幹細胞を用いて、様々な力学的摂動条件下における網膜オルガノイドのライブイメージングに取り組む.さらに、開発した力学シミュレーション手法,および,網膜オルガノイドを用いた力学的摂動実験を組み合わせ,器官形成における頑強性の鍵となるマルチスケールな制御機構の同定を行う.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で実験が遅れているため次年度使用額が生じた。
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