2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K21176
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 鉄兵 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10404071)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 電気化学ペルチェ効果 / 超分子科学 / 熱化学電池 / ペルチェ係数 / オンサガーの相反定理 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、エアコンなどに代わる冷却デバイスとして、ペルチェ素子を用いた局所冷却デバイスが注目を集める。熱化学電池は酸化還元反応に伴うエントロピー変化を利用して、温度差を電気エネルギーに変換する熱電素子の一種である。オンサーガーの相反定理から、逆にこのセルに電流を印加することで、温度差を生じさせることが出来ることは古くから知られている。しかし、セルとしての実証は未だ未開拓であった。本申請ではこの電気化学ペルチェ効果を実証するシステムを構築し、実測することを目指した。 我々はまずPythonプログラムを用いて電気化学ペルチェ効果を実証する測定システムを設計した。それを用いて、フェロシアン・フェリシアン系において、0.1 K程度の冷却効果の確認に成功した。 これをI-/I3-の系に適用したところ、電気化学ペルチェ効果を実証し、さらに、ホストの導入により冷却効果が増強されることを明らかにした。このことは、包接・脱包接反応を電気的に誘起し、それによって熱輸送を実現したことを意味しており、超分子科学の観点からも興味深い。またこの際のペルチェ係数は、ホスト無しの場合と比較して1.7倍に増強されているが、この値は、逆反応の熱化学電池のゼーベック係数の増強効果と同じである。このことは、電気化学ペルチェ効果においてもオンサガーの相反定理が成り立つことを示唆している。 またポリマーのレドックスやバナジウム錯体のPCET反応を利用しても電気化学ペルチェ効果が得られることもわかった。 以上のように、非平衡熱力学、ホストゲスト化学、電気化学を組み合わせた新しい学術分野の創成に繋がる成果を得た。
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Research Products
(15 results)