2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of electric power generator using photosynthetic electron transport reaction
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20K21282
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
稲葉 丈人 宮崎大学, 農学部, 准教授 (00400185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 謙吾 宮崎大学, 農学部, 准教授 (70581304)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 葉緑体 / 光合成 / 発電 / 鉄還元細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
光合成電子伝達反応は、光エネルギーを利用して水を酸化し、生じた電子と水素イオン濃度勾配を利用することで光エネルギーを化学エネルギーに変換する反応である。本研究では、光合成で得た光エネルギーを電気エネルギーに直接変換する「光合成発電デバイス」の作製に挑戦する。 今年度は、昨年度、大腸菌で発現させて精製したフェレドキシン(Fd)およびフェレドキシン-NADP+還元酵素(FNR)を用い、Geobacter属細菌が持つc型シトクロムOmcZを電子受容体として電子伝達能を調査した。その結果、分光光度計を用いた吸光度測定により、シロイヌナズナフェレドキシンAtFd1からOmcZへの電子伝達が検出できた。また、今後の実験で電子伝達活性を正確に測定するため、酸化型シトクロムのみを精製した。具体的には、フェリシアン化カリウムで酸化したシトクロムcを、Resource Sカラムを用いて0-1M NaCl濃度勾配で溶出した。スペクトルデータから、ほぼ酸化型のみが得られたと判断した。さらに、固体電極への電子伝達能を評価するため、マイクロ分析セルおよびポテンショスタットを用いてフェレドキシンからグラファイト電極への電子伝達を測定した。これまでのところ、この系におけるフェレドキシンからグラファイト電極への電子伝達の検出には至っていないが、タンパク質濃度を変えるなど、引き続き条件検討を行う予定である。今後はこの装置を用いて、電子伝達特性を調査する予定である。また、電極作製のために必要なOmcZタンパク質の精製を行い、グラファイト電極表面に担持させた。電気化学システムを用いてOmcZ由来のシグナルを得ることに成功したため、今後は、OmcZを担持させた電極を用いてAtFd1からOmcZへの電子伝達を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、おおむね申請時計画通りに進めることができた。特に組み換え型Fdから細菌OmcZに実際に電子が伝達されることを示せたことは、計画実現のための最大の壁を乗り越えたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も当初計画に従って研究を進める。これまでの研究により、組み換え型Fdから細菌OmcZに実際に電子が伝達されうることが示唆されたので、各タンパク質の濃度を変化させ、反応速度論的パラメーターを求める。加えて、ポテンショスタットを用いたFdからグラファイト電極への電子伝達の測定により、電子伝達能を評価したい。これらの実験により、液相における電子伝達のみならず、固相においてFdからOmcZへの電子伝達が起こる条件を見出す。
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Causes of Carryover |
共同で行った実験において、限外濾過カラムなどの一部消耗品の重複購入を避けることができたため。繰り越し分は、電気化学実験の条件検討中に必要な追加試薬の購入等に充てる。
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