2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K21386
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松本 雅記 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60380531)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | プロテオゲノミクス / 定量プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
生命システムの本質である多様性を理解する上で、核酸オミクス情報とプロテオームの間の関数の解明が極めて重要な課題である。この問題に取り組むため質量分析データをゲノム情報と照合するプロテオゲノミクスが盛んになりつつある。しかしながら、偶発的なデータ取得に依存した従来のプロテオーム解析では、定量的な議論ができない状況にある。本研究は、申請者らが構築した大規模精密定量プロテオーム解析技術iMPAQT法(Matsumoto M. et al. Nature Methods 2017)を発展させ、既存のプロテオゲノミクス解析の戦略と正反対の情報/仮説駆動型プロテオゲノミクスを確立し、核酸情報とプロテオーム情報の間に存在するブラックボックスの解明に挑む。本年度は以下の項目を達成した。 1)情報/仮説駆動型プロテオゲノミクス支援データベース構築 仮説駆動でプロテオゲノミクスを実施するために、公共データベースに蓄積しているゲノム情報やトランスクリプトーム情報を解析し整理したデータベース(=Peptide-centric ProteoGenomics DataBase: PcPG-DB)を構築した。さらに、これらのデータベースから未知タンパク質特異的ペプチドを選出し集約した連結体のデザイン支援ツールを開発するとともに、対応するペプチド配列をA-NNやPrositツールを用いてMS/MSスペクトルやリテンションタイムを予測したスペクトルライブラリーを作成し格納した。 2)ゲノム情報に基づく大規模ペプチド評品の取得 PcPG-DBから得られるペプチド配列を集約した連結体を設計し、安定同位体標識組換えタンパク質評品として調製した。また、それぞれの連結体を識別・定量可能なバーコードタグを設計し、異なる連結体をまとめて添加可能なシステムを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたデータベースや連結体デザインツールの開発に関しては予定通りのスケジュールで完了した。一方、大きな課題であったMS/MSスペクトルの予測に関しては、時間をかけて独自開発する予定であったが、最近いくつかのAIを用いたツールが報告・公開されたため、これらの利用を検証したところ、十分な性能が得られることが判明した。そこでこれらのツールで得られた予測結果をわれわれのデータベースに登録し、利用できるように改変した。このため、インフォマティクス部分の開発に関する時間と労力を削減することができ、定量用バーコードタグの開発など実験を必要とする開発項目に注力できたことで、予定より早く計画を進行することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように、インフォマティクスの開発の省力化のため定量タグの開発や連結体デザインを予定より早く完了している。そこで、本年度はこれらに対応する人工遺伝子を作製し、内部標準ペプチドを得ることを進める。また、より高速なペプチドの同定・定量を進めるため、多数のペプチドを同時計測可能なHyper Reaction Monitoring (HRM)法とPRM法を連動させる手法であるSequentially Linked Mass-spectrometry (SLiM)の開発を進める。SLiM法では、HRMの感度を極力上げることがその後のPRM測定数を減らすことで大幅な効率化を実現できることから、特にHRM法の最適化を重点的に実施する。また、微量タンパク質の検出効率を上げるため、液体クロマトグラフィーによる事前分画法も導入を予定している。最終的には複数のがん細胞株を対象にしてこれらの方法を適用し、変異を有するタンパク質の発現を定量的に実証することが可能か検証する。
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Causes of Carryover |
予定していた研究打ち合わせや学会発表の旅費がコロナウイルス感染拡大の影響で中止となったため旅費の使用がほとんどなくなった。また、プラスチックウェアを含むいくつかの物品の購入も輸入制限等で調達時期不明となったため、他の資金で購入していた物品の流用で対応した。当年度は質量分析計の試料前処理でタンパク質の分画が必要となるため、分取型のHPLCの購入や関連するカラム類の購入を予定している。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Senolysis by glutaminolysis inhibition ameliorates various age-associated disorders.2021
Author(s)
Johmura Y, Yamanaka T, Omori S, Wang T, Sugiura Y, Matsumoto M, Suzuki N, Kumamoto S, Yamaguchi K, Hatakeyama S, Takami T, Yamaguchi R, Shimizu E, Ikeda K, Okahashi N, Mikawa R, Suematsu M, Arita M, Sugimoto M, Nakayama KI, Furukawa Y, Imoto S, Nakanishi M.
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Journal Title
Science
Volume: 371
Pages: 265-270
DOI
Peer Reviewed
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