2022 Fiscal Year Annual Research Report
ミクログリア由来新規ガイダンス因子による神経回路形成機構の解明と関連病態の解析
Project/Area Number |
20K21499
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
山岸 覚 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (40372362)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | Noggin / 軸索ガイダンス / 脳梁欠損 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梁は脳における最大の交連繊維であり、左右の大脳半球を繋ぎ感覚や言語における情報交換を行っている。申請者はこれまでに、単球・ミクログリア特異的なCsf1r-iCreや神経系特異的Nestin-CreによってNogginを欠損させると脳梁欠損が見られることを見出した。これまでのmatingで、Csf1r-iCreよりもNestin-Creの方が脳梁欠損の発生率が高いため、こちらを優先して解析を実施している。ゴルジ染色を実施した結果、cKOマウスでは脳梁を形成すべき軸索は大脳皮質から腹側に向かい伸長しているが、塒を巻いてしまい正中方向に向かって正しく進んでいないことが明らかとなった。 Nogginプロモーター下でGFPを発現するNoggin-GFPマウスを用いた解析では、発生期には大脳皮質興奮性細胞で見られた強い発現が成体では減少し、一部の神経細胞にわずかながら発現することが明らかとなった。またこれらの細胞以外にも、プルキンエ細胞や髄膜にも強い発現がみられることが明らかとなった。プルキンエ細胞から放出されたNogginが作用する相手としては小脳顆粒細胞が考えられるため、Nogginを基質としてコートしたストライプに対し、顆粒細胞を培養した。その結果、大変興味深いことにNogginは小脳顆粒細胞に対して強い反発活性を示し、軸索ガイダンス分子として機能していることを明らかとした。 昨年同定した受容体候補遺伝子5つに対しての解析では、細胞へのエンドサイトーシスを指標に解析している。免疫組織染色により、Noggin陽性小胞のシグナルと一部重なること、中和抗体でNogginへの細胞内における分布局在が変化することを見出した。しかしながら、いずれの候補も受容体と完全に同定できるまでの証拠は得られていない。複数の受容体が存在し、機能補填している可能性が考えられる。
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