2020 Fiscal Year Research-status Report
Endosomal recycling disorders: a novel disease entity caused by endosomal recycling defects
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20K21583
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
齋藤 伸治 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00281824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 久史 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (30375513)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | retriever / retromer / VPS35L / MAGEL2 / エンドソームリサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちがRitscher-Schinzel症候群(RSS)様症候群の新規原因遺伝子としてVPS35Lを同定した。当初の報告では同胞例2例での報告であった。VPS35L関連疾患を集積するために、Genematcherにより国際的データシェアを行い、フランス人1例を同定した。さらに、日本人1例を同定し、計4例を集積することができた。その結果、VPS35LがRSS様症状を示す新規症候群であることを確立し、その疾患概念を示すことに成功した。VPS35L関連RSS様症候群は発達障害の程度は様々であり、合併症も様々である。特異的な症状としては特徴的な顔貌であることを明らかにすることができた。 VPS35Lノックアウトマウスは胎生致死であるために、コンディショナルノックアウト(cKO)マウスの作成を行なった。 VPS35L floxマウスの作成に成功した。神経特異的ノックアウトマウスとしてNestin-Cre、骨格系特異的ノックアウトマウスとしてPrx1-Creとの掛け合わせを行い、それぞれのcKOマウスの作成に成功した。Nestin-VPS35L cKOマウスは小頭症を示し、病態を再現することに成功した。Prx1-VPS35L cKOマウスは予想に違い、骨格系の症状は軽微であった。しかし、骨格筋の筋萎縮と筋力低下を示した。Prx1は筋細胞では発現せず、筋症状の原因としてはペリサイトの障害と血管形成の異常である可能性が示され、新規のメカニズムを示すことができた。 retromer関連疾患である、MAGEL2の新規ノックアウトマウスをCRISPR/Cas9を用いて作成し、その表現型の解析を行なった。MAGEL2ノックアウトマウスはヒト患者に比べて症状は軽く、ヒトとマウスとでのMAGEL2の役割の違いが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エンドソームリサイクルに関連する患者集積を進めることができた。MAGEL2変異が原因であるSchaaf-Yang症候群については遺伝子診断系を確立し、全国の患者の診断に対応している。VPS35Lについては国際共同研究で複数の患者を集積し、疾患概念の確立を主導した。これらの疾患の集積の基盤を確立できた。 エンドソームリサイクルの主たるタンパク複合体であるretriever及びretoromerの実験系を細胞レベルおよび動物レベルで確立することができた。VPS35Lについては複数のコンディショナルノックアウトマウスを作成し、疾患の再現に成功した。これらの動物を用いることで、retrieverの機能障害を有するそれぞれの臓器、特に脳、を用いた実験が可能になった。また、retromerに関連するタンパクであるMAGEL2のノックアウトマウスの作成に成功した。MAGEL2ノックアウトマウスでは、MAGEL2のインプリンティング発現が保たれ、脳における発現部位も保たれており、機能的なMAGEL2が存在しない動物の作成に成功した。これらの組み合わせにより、エンドソームリサイクルの多面的な解析が可能になり、研究の基盤を作成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
MAGEL2については厚生労働科学研究費の支援を受け、我が国における診断拠点を確立するだけでなく、全国疫学研究の実施を担うことになり、全国の患者データの集積ができる状況である。また、VPS35Lについては我が国のみならず、国際共同研究の中心組織として世界的なVPS35L関連疾患のデータ集積の中心としての役割を担っている。引き続き、これらの拠点機能を維持発展させることで、患者に関するデータを集積し、エンドソームリサイクル病の概念の整理を行う。 細胞レベル及び動物レベルでの実験のための基盤となるモデル動物の作成は順調であり、複数のコンディショナルノックアウトマウス及びノックアウトマウスの作成に成功した。これらはエンドソームリサイクルを多角的に解析するための貴重な研究資源である。現在、さらに複数のモデル動物の作成に取り組んでおり、引き続きエンドソームリサイクルに関する全体像を解析するための研究資源の作成を目指す。 すでに、これらの資源を用いた実験を行なっており、今後も予定通り実験を推進するとともに、広く研究資源を公開し、共同研究の一翼を担うことを予定している。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] 当院でエキソーム解析を実施した小児神経疾患症例の臨床的検討2020
Author(s)
堀いくみ, 宮冬樹, 中島光子, 中村勇治, 家田大輔, 大橋圭, 根岸豊, 服部文子, 安藤直樹, 角田達彦, 才津浩智, 金村米博, 小崎健次郎, 齋藤伸治
Organizer
第62回日本小児神経学会学術集会
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