2021 Fiscal Year Research-status Report
セラミドによる免疫制御機構を応用した膵島移植における膵島生着延長の試み
Project/Area Number |
20K21628
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小林 隆 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40464010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 義晶 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80345529)
松田 康伸 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40334669)
永橋 昌幸 新潟大学, 医歯学総合病院, 研究准教授 (30743918)
三浦 宏平 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70733658)
廣瀬 雄己 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (10737365)
油座 築 新潟大学, 医歯学総合病院, レジデント (00745565) [Withdrawn]
諸 和樹 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (10745566)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 膵島移植 / 脂質メディエーター / セラミド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はセラミドによる免疫制御機構を応用した膵島移植における膵島生着延長を試みる研究である。脂質メディエーターの一種であるセラミドがTリンパ球の一種である制御性T細胞の機能維持に重要であるとの知見(Nat Immunol 2016)を踏まえ、1型糖尿病に対する細胞治療である膵島移植において、セラミドによる制御性T細胞の活性化、機能維持により移植した膵島細胞の生着延長効果が認められるかどうかについて、検討を予定していた。しかしながら、昨年度はマウスを用いた自家膵島移植の系が十分に確立できず十分な研究の進捗が得られなかった。今年度は動物種をマウスからラットに切り替え、十分な膵島を採取することに成功した。採取された膵島を用いて自か膵島移植実験を行ったところ、年度前半に、概ねラットモデルでの自家膵島移植モデルが確立した。年度後半で予定したセラミド投与実験を行った。具体的には、自家膵島移植モデルをプラセボ群、セラミド投与群、グリコシルセラミド投与群の3群に分けて、局所免疫動態や膵島生着に関して、フローサイトメトリー、及び、免疫組織学的に解析を実施した。その結果、セラミド投与群、グリコシルセラミド投与群において、プラセボ群と比較し、明らかな生着延長効果は確認出来ず、本研究の仮説を証明することができなかった。しかしながら、動物種を変更したために投与量が過小になった可能性があったため、次年度では、投与量の変更を行い、セラミドに関する至適投与量を検討し研究を継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の実験が遅延した原因である、マウスを用いた自家膵島移植の系が十分に確立できなかったことに対して、今年度前半で、動物種をマウスからラットに変更し、ラットを用いた自家膵島移植の系を概ね確立することに成功した。その後、年度後半でセラミドの種類の違いによる膵島移植の生着効果を検証する実験を行うため、自家膵モデルをモデルをプラセボ群、セラミド投与群、グリコシルセラミド投与群の3群に分けて、局所免疫動態及び生着を解析したところ、明らかな生着延長効果については認められず、免疫学的な違いも明らかにはならなかった。原因として、動物種をマウスからラットに変更したため、予定されていたセラミドの投与量が個体に対して少なかった可能性が考えられた。従って、セラミド投与量を増量して、再度検討を行う必要がある。セラミドの投与方法に関しても、経口的に投与していたが、経静脈的に投与する方法も含めて検証をおこなう必要がある。概ね順調に進捗していると考えるが、ポジティブなデータは未だ得られていないため、上記をふまえて実験を継続する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度前半で、動物種をマウスからラットに変更し、ラットを用いた自家膵島移植の系を概ね確立することに成功した。その後、年度後半でセラミドの種類の違いによる膵島移植の生着効果を検証する実験を実施した。現時点で、残念ながら本研究の仮説が正しいとのデータは得られていないが、進捗状況の報告でも述べたとおり、3つの実験群で膵島生着に違いが見られなかった原因としては、動物種をマウスからラットに変更したため、予定されていたセラミドの投与量が個体に対して少なかった可能性、セラミドの投与方法に関して、経口的に投与していたが、経静脈的に投与する方法も含めて検証をおこなう必要生など、新たな課題が見えてきた。そのため、今年度はラット自家膵島移植モデルを用いて至適投与量を検証する予定である。具体的には今回投与したセラミド量の3倍程度まで投与量を増やしたモデルで検討を行う。また、投与方法についても、これまで経口投与を行ってきたが、経静脈投与を試みて、その効果を検証する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、昨年度にマウスを用いた自家膵島移植の系が十分に確立できず実験全体の進捗が遅延したためである。本来は、マウスモデル確立後に、セラミドの違いによる膵島移植の生着効果を検証する実験を実施するところまで予定していたが、薬剤投与実験ができず、その分の薬剤の購入費が今年度増加した。今年度は概ね順調に実験が推移したため、概ね予定された使用金額になった。そのため、予定以上に薬剤の使用はなく、その分が次年度使用額として発生した。しかしながら、今年度の実験結果から、至適薬剤投与量を検討する新たな課題が生じたため、そのための薬剤費として次年度使用額を使用する予定である。具体的に、次年度前半までにこれまでのセラミド投与量を増やしたモデルを作成し、投与量の違いによる膵島移植の生着効果を検証する。従ってセラミド購入費が主な使途になる見込みである。
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Research Products
(1 results)