2021 Fiscal Year Research-status Report
モデルマウスを用いた免疫代謝解析に基づく頭頸部癌に対する抗腫瘍免疫活性化法の開発
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20K21648
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
脇坂 尚宏 金沢大学, 医学系, 准教授 (70377414)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 免疫代謝 / 頭頸部癌 / 動物モデル / 免疫プロフィール |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、中咽頭癌における免疫代謝状態を評価するためのツールとして、腫瘍免疫関連因子と代謝関連遺伝子の発現について解析した。その結果、中咽頭癌では前転移ニッチ形成を促進する因子、高内皮細静脈などいわゆるホーミングを促進する因子等に加え、免疫代謝に関連する因子としてアミノ酸・脂肪酸代謝やTCA経路の活動性に関わるもの、活性酸素種の処理機能や好気性の経路に関わるものなどが、さらには低酸素で活性化される因子なども腫瘍免疫に関与することが示され、腫瘍免疫に関わる細胞障害性Tリンパ球・Bリンパ球などの活性を推定するための因子となり得ると考えられた。今後の免疫代謝状態やその変化を経時的に評価するための有用な手がかり・手法・情報が得られたと考えている。その成果により、腫瘍組織内の腫瘍免疫状態を簡便に推定し、腫瘍免疫を活性化するための薬剤の発見が可能になると思われた。 一方、当初計画していたPBMC-PDXマウスの作成は達成できなかった。コロナ禍の影響もあり、動物実験系については十分な作業を行うことができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
腫瘍免疫ならびに免疫代謝に関わる因子の解析では十分な成果が得られた一方、動物実験ではコロナ禍の影響もあり、十分な作業を行えなかった。課題である、PBMC-PDXモデルマウスの作成にまでは至らず、研究計画よりも進捗は遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に達成できなかったPBMC-PDXマウスの作成に改めて取り組む。マウスはNOGマウスを使用する予定である。PDXモデルについては既に倫理委員会の承認済みであるが、併せてPBMCの移植についても承認を得る。並行して、Tリンパ球の免疫状態を解析するための予備実験を行っていく。可能であればBリンパ球へも研究対象を広げ、リンパ球間のクロストークにも視点を広げながら研究に取り組む。 動物実験と並行して、同定した免疫代謝因子から代謝経路を同定して、腫瘍免疫を促進するための薬剤を絞り込んだうえでその効果を評価する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた腫瘍組織における免疫細胞でのmRNAの発現解析を、サンプル調製の遅れのため十分に行うことができなかった。 動物実験ではコロナ禍の影響もあり、十分な作業を行えなかった。 そのため、次年度使用額が生じた。
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