2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of examination methods for oral hypofunction: A cohort study
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20K21717
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
澤瀬 隆 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (80253681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 俊行 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (10170515)
佐々木 宗輝 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10706336)
右藤 友督 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10816680)
杉本 昌弘 東京医科大学, 医学部, 教授 (30458963)
前田 隆浩 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (40284674)
黒嶋 伸一郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (40443915)
大山 要 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (50437860)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 唾液 / メタボローム解析 / プロテオーム解析 / 口腔機能低下症 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔の機能が衰えるオーラル・フレイルは要介護への入り口で,オーラル・フレイルに陥るとフレイルへの移行リスクや要介護認定リスクがいずれも2.5倍上昇することが明らかにされている.しかしながら,オーラル・フレイルは,適切に対応すれば健常へと回復する可逆的な状態であるといわれており,オーラル・フレイルの早期発見や,発見後における適切な口腔管理法の開発が喫緊の課題となっている.申請者らは,10年以上前から本学医学部の離島・へき地医療に関する大規模コホート研究に参画して毎年約2,000名に健診を行い,その中で口腔健康状態と全身疾患との関連性を明らかにしてきた.また,研究分担者の杉本は,被検者の唾液を網羅的に探索するメタボローム解析から,複数疾患の唾液バイオマーカーを発見してきた(複数特許取得済み).以上から申請者らは,当大学の大規模コホート研究と唾液メタボローム解析に着目し,1)非侵襲的かつ簡便に採取できる唾液から口腔機能低下症の早期バイオマーカーを探索して先進的検査法を開発すること,ならびに,2)口腔機能低下症診断後における口腔管理の効果判定指標ガイドラインに対する基盤構築を行うことを本研究の目的とした. 本年度は当初より新型コロナウイルス感染症拡大の影響が予想されたため,研究対象者の検索場所を拡大し,比較的新型コロナウイルス感染症による患者数の増減が大きくない大学病院の歯科外来を受診している患者を対象に含めることにした.現在,約50名の患者基本情報,口腔機能低下症の検査,ならびにメタボローム解析とプロテオーム解析のための唾液サンプルを採取し,現在メタボローム解析中ならびにプロテオーム解析中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来は離島で調査を行う予定であったが,今後も新型コロナウイルス感染症の影響を受けにくい大学病院受診患者を調査対象に含めることで,口腔機能低下症の検査や唾液採取などを円滑に行うことが可能となった.以上から本研究は(2)おおむの順調に進展している,と判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)新型コロナウイルス感染症の影響が少ない大学病院歯科外来受診患者を対象に,まずは研究分担者が解析可能な安静時唾液を引き続き採取する(メタボローム解析は100μL,プロテオーム解析は1mLの唾液が必要).それと共に,GC社が開発したグルコラムを20秒間咀嚼後,溶出グルコース濃度をグルコセンサーで測定し,咀嚼機能低下の評価を行うとともに,その他6項目の検査も行うことで,調査対象者の口腔機能低下程度を判断する.唾液量も同時に分かるため,データ化する(口腔乾燥評価). (2)凍結輸送された唾液のメタボローム解析とプロテオーム解析から,咀嚼能率低下の有無で変動する唾液の代謝産物/蛋白質を探索して候補分子(複数)とする.また,候補分子がその他の歯科的・医科的データと相関するかを検討し,交絡因子を除外してバイオマーカーを同定する.その後,候補分子の組み合わせ数理モデルを人工知能(AI)により開発してデータを機械学習させ,どの程度の口腔環境であれば同定バイオマーカーが検出されるかを患者層別化し,層別化されたグループごとに口腔管理の効果判定指標を導き出す.
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Causes of Carryover |
科研の採択時期,科研費の運用期間の短さに加え,今回は新型コロナウイルス感染症により調査に少なからず影響が出ていると考えられるものの,大学病院外来受診患者は次年度も減少することはないことから,速やかに対象者の調査費用と唾液解析費用に充てる.
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