2022 Fiscal Year Annual Research Report
Society5.0時代のインフルエンザ発生予測モデル構築の試み
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20K21732
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
西脇 祐司 東邦大学, 医学部, 教授 (40237764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道川 武紘 東邦大学, 医学部, 講師 (80594853)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | インフルエンザ / 社会環境要因 / 環境疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の予備解析結果より、人口動態(流出入)よりも世帯の人数がインフルエンザ報告数に関連していることが示唆された。この関連を確認すべく、さらに変数を追加して、多変量重回帰分析等の解析を行った。解析対象地域は東京都(島しょ除く)の保健所管轄区域(30地域)であり、定点医療機関当たりインフルエンザ年間報告数(2014-2016年度の平均値)を目的変数とした。説明変数としては、常住人口、65歳以上のインフルエンザワクチン接種率(地域保健・健康増進事業報告;厚生労働省)、生活保護割合(生活福祉部保護課資料;東京都福祉保健局)、世帯当たり人数(平成27年国勢調査)に加えて、常住人口に対する通学者の流入人口比、常住人口に対する通学者の流出人口比とした。また、通学者の代わりに、常住人口に対する通勤者の流入人口比、常住人口に対する通勤者の流出人口比とした場合の解析も実施した。最後に、世帯当たり人数の代わりに、全世帯数に対する子供のいる世帯数の割合を使用した場合の解析も実施した。 その結果、通学者であっても通勤者であっても、人口の流出入は、インフルエンザ報告数とは関連が認められなかった。一方、世帯当たり人数は目的変数との関連を認めた。世帯当たり人数の代わりに、全世帯数に対する子供のいる世帯数の割合をモデルに投入した場合も関連が観察された。全世帯数に対する子供のいる世帯数の割合が1%上昇すると定点医療機関当たりインフルエンザ年間報告数は10.9人(95%CI: 5.6-16.2)多くなった。以上より、インフルエンザの地域での流行には、人流よりも地域の世帯構成が寄与する可能性が示唆された。本結果は、東京都での結果であり、他地域でも同様の関連が観察されるかどうかの検証が必要である。
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