2020 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ流体技術によるマイクロ&ナノプラスチック濃縮回収への挑戦
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20K21863
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
秋山 佳丈 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (80585878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森脇 洋 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (30321938)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | マイクロプラスチック / 音響泳動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、音響泳動による濃縮を連続的もしくは循環的に行うことで、ナノサイズを含むマイクロプラスチック濃縮回収技術確立を目指している。特に、既に検証済みの3倍濃縮を連続的に複数段行うことで高濃度濃縮を行う系を確立する。最終的には、実サンプルにおける検証を以下の項目により目指している。 これまでに、4連続分岐による100倍の濃縮を目指し、デバイスの設計と試作を行った。本デバイスでは、3分岐における流量比を1.1対1対1.1とすることで、各分岐で3.2倍濃縮する。これを4段設ければ、3.2の4乗で100倍以上の濃縮が可能となる。まず、マイクロ流路の電気回路アナロジーを使い、各流路の流体抵抗を決定した。この流体抵抗に基づき、流路サイズと長さを決定し、デバイス全体の流路パターンを決定した。また、得られた流路パターンに対し、有限要素法に基づく流体解析を行い、設計通りに流体が流れることを確認した。 そして、機械加工によりガラス基板に溝を加工することで、ガラス製の流路デバイスを作製した。ここに、圧電素子を貼り付けることで音響泳動デバイスとした。この音響泳動デバイスに対し、各分岐における流量の評価を行い、設計通りに流れていることが確認できた。さらに、プラスチック粒子懸濁液を送液し振動を印加したところ、最初の1分岐および2分岐では想定通りプラスチック粒子が濃縮されたが、3分岐以降では流量がかなり低くなるため、プラスチック粒子が流路壁面に貼り付くなど、音響泳動によるスタックが見られた。今後、この改善には、振動解析に基づくデバイス形状の検討が必要だと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
想定外の音響泳動によるプラスチック粒子のスタックが見られたが、最終目的であるマイクロプラスチックの音響泳動による高濃度濃縮の実現に向けて、デバイスの設計から作製までを終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、音響泳動デバイスを完成させるとともに、ナノサイズのマイクロプラスチック粒子の回収方法について検討する。 まず、流量低下によるプラスチック粒子のスタックを抑制するために、有限要素法に基づく音響解析を行い、音響泳動力の分布について算出する。この音響泳動力が流路の角や側面に向かい、プラスチック粒子をスタックさせることがないように、流路の角をなくすなど、流路形状の検討を行う。これにより、導入時の100分の1の流量でもプラスチック粒子がスムーズに流れるデバイスを作製する。 また、音響放射力では操作が困難なナノサイズのプラスチック粒子への対応を検討をする。 そして、これら2つを合わせることで、ナノサイズまで含めたプラスチック粒子回収を実証することを目指す。
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Causes of Carryover |
試作した流体デバイスに想定外の問題があったため、ガラス基板や圧電素子等の消耗品の購入を次年度に持ち越すこととなった。また、コロナ禍の影響で、学会出張費等が大きく低減された。これら経費は、今年度購入できなかった消耗品費、また新たに必要となった音響解析ソフトウェア等の購入費用に充填する。
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Research Products
(3 results)