2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K21896
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
成瀬 恵治 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (40252233)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 微小重力 / 宇宙 / メカノバイオロジー / メカノメディスン |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙空間においては宇宙線・微小重力といった地球上とは異なる環境下であり、様々な身体変化が報告されその分子メカニズムに関して多く研究されているが、肝心の重力センシングメカニズムに関しては不明な点が多い。現在までに、我々は、重力感知機構に関する研究より、過重力負荷時の細胞構造、特に核・ミトコンドリアなどの密度の大きいものと細胞骨格との相互作用が重要であることを明らかにしてきた。その上で、「微重力下ではどのような細胞挙動をするのか?」と疑問に感じ、過重力とは反対の微重力下での細胞挙動のリアルタイム観察が喫緊の課題であることを痛感した。現在地球上において擬似微小重力環境を提供するクリノスタットにて細胞挙動(細胞運動・細胞形態変化・細胞内情報伝達等)を測定する試みが行われているが、リアルタイムでの細胞挙動を見ることは現在の技術では困難である。そこで、微小重力下では細胞はどのような挙動をするのかを観察したいという強いモティベーションの下、リアルタイム測定系クリノスタット搭載型蛍光顕微鏡の構築を本研究の目的とし研究に着手した。 まず、疑似微小重力装置搭載型顕微鏡システムの作製とし三次元光造形装置を用いて既存のクリノスタットに搭乗させられる蛍光顕微鏡のプロトタイピングを作成した。この顕微鏡を用いて高速回転させ、染色した核を観測することは可能であった。最終的には、アルミ材にて成型しクリノスタットに搭載する予定である。これと並行し2軸回転での培養に耐えうる特殊チャンバーの開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
疑似微小重力装置搭載型顕微鏡システムの作製を行うために微小重力環境細胞培養装置であるクリノスタットを購入し、このクリノスタットに搭載可能な蛍光顕微鏡の設計を行い既設の三次元光造形装置にてプロトタイピング作成を行った。まず、この作成された小型化蛍光顕微鏡を用いて、微重力と相対する高速回転装置に設置し過重力負荷をかけることを可能とした。つまり、このシステムを用いることで過重力時の細胞をリアルタイム観測することが可能となった。今後、この顕微鏡システムをアルミ材にて成型し直接クリノスタットに搭載させる予定である。 加えて、2軸回転を行うクリノスタットは通常シャーレでは培養液が飛散してしまう為、リアルタイム観測用の特殊チャンバーの開発を行った。細胞の長期培養を考慮しガス透過性の高いシリコン樹脂を用いた密閉系で作成を行った。作成された特殊チャンバーは、長時間の細胞培養が可能で、かつクリノスタットに搭載しても培養液を飛散することなく保持することが出来た。また、観測面はガラスを用いることで細胞をクリアに観測することが、可能であった。 以上の成果より進捗状況は、おおむね順調に進捗していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
微小重力環境細胞培養装置であるクリノスタットに、アルミ成形された蛍光顕微鏡システムの構築を行う。 作製したシステムを用いて、細胞内小器官である核やミトコンドリアの局在、細胞骨格の変化、セカンドメッセンジャーとして細胞内伝達を担うカルシウム等の観察を行い、通常培養1Gとの比較を行うことで、微小重力が細胞に及ぼす影響を明らかとする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、当初予定していた学会参加費、旅費が不要となったため。今後、リアルタイム測定時に必要な試薬や、システムのアルミ成形などに使用する予定である。
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Research Products
(6 results)