2020 Fiscal Year Research-status Report
Designing systems to support land disputes resolution in social infrastructure developments
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20K22102
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
奥村 哲史 東洋大学, 経営学部, 教授 (00224171)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 用地紛争 / 解決支援 / 社会基盤整備事業 / 交渉 / 権利型・パワー型 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ury, Brett, & GoldbergがGetting Disputes Resolved (1988, Jossey-Bass)で提唱したIRP(Interests, Rights, & Power)モデルによる紛争解決の実践的アプローチの構造を再検討し、このモデルの適用の分析対象として経済先進国における都市再開発事業および幹線道路整備事業等の公共事業事例の抽出を試みた。 日本における事例には、本研究以前に取り組んできた過去の高速道路建設等における用地補償担当者への聞き取り調査の資料の再分析を進めるとともに、近年の事例、特に地権者との説明、補償交渉を進めても、任意合意が成立せず、行政代執行つまり法的な強制収用に至っている案件を検索している。海外の事例としては、米国ボストンの都市部幹線道路の再整備と仏パリ郊外の高速道路建設を対象として資料収集を進めた。 これらの理論枠組みと先進国での事例調査と合わせ、本研究の重視する東南アジアにおける社会基盤整備事業にかかる非自発的移転の状況を検討し、ながらく日本が筆頭ドナーであったカンボジアの事例と、やはり日本が援助を決定しているミャンマーのヤンゴン地域の幹線道路建設の事例に関する資料収集を進めた。 上記の事例に関連する、すでに開示されている資料だけでなく、関係各所への聞き取り調査を特に次年度に予定しているフィールド調査の前段階として予定していたが、新型コロナ感染症の影響で実現させることができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症の影響により、聞き取り調査等、今年度に予定していた国内の具体例に関する関係各所の専門家への訪問ができておらず、次年度に予定していた海外でのフィールド調査のために不可欠の部分を進めることができなかった。幾度か、コロナ禍の影響が低下しているかにみえる時期に、聞き取り調査の設定を試み、相手側からも同意を得たことはあるものの、双方の諸事情はもとより、数波におよぶ感染拡大が発生したため、日程の再設定を繰り返さざるを得ない状況だった。 また、東南アジアの重要な事例として、またアクセス可能性を高めていたはずのヤンゴン(ミャンマー)における社会基盤整備事業の事例調査が、同国の現在の国情からすると、断念せざるを得ない可能性が出てきた。 同様に、新型コロナウィルスの影響による各国の事情に伴う、現地へのアクセスおよび勤務先からの出張承認等も、今後の不確定要素となっており、新年度になってからの現時点(4月中旬)での行政的な諸規制の発出を鑑みると、当初の計画を再検討する必要性が出てくると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
フィールド調査および前段階の国内における関係各所への聞き取り調査については、新型コロナ感染の影響を、現時点(2021年4月)以降も想定せざるを得ない。そのため、すでに開示されている資料をより活用することで代替的効果を導くような研究手法を検討する必要に迫られている。 本研究で焦点とする紛争解決の基本モデルを考案した原著者とは、この間、事例の検索と共に分析可能性についてオンラインで交流しつつ、知識提供を得ている。国内の聞き取り調査についても、新型コロナの影響で具体化されていないものの、これまで関係各所の専門家とは、電子メール等での非公式の専門知識の教示を得るなどについては一定の関係構築とともに、蓄積を進めている。今後も同様の努力をしつつ、意義のある事例分析を進めたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの世界的な感染のため、出席を予定していた国際学会がオンライン開催になり、また聞き取り調査のための国内調査が一切できなかったため、次年度に繰り越すことにした。
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Research Products
(1 results)