2022 Fiscal Year Research-status Report
Islam, Social Movements and ICT in Educational Institutions -Cases from Asia and Africa-
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20K22170
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Research Institution | Kyoto Seika University |
Principal Investigator |
阿毛 香絵 京都精華大学, 国際文化学部, 講師 (90876351)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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Keywords | オンライン調査 / オンラインインタビュー / 定期勉強会 / メディアと宗教性 / 映像人類学 / 先行研究の検証 / ニューメディア / 若者文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、前期の育児休業による休職のため海外におけるフィールド調査の実施は延期した。文献調査やオンラインにおける調査を進めると同時に、京都において国内フィールド調査の成果報告である展示、研究協力者との打ち合わせや勉強会を行った。 1 国内フィールド調査の映像による成果報告 …京都にて、日本国内の若いムスリムによる映像作品制作と研究の成果を展示した「ヤングムスリムの窓」展を開催した。(https://project-yme.net/exhibition2023/)国内の若い世代のムスリム3人との映像制作や調査を通した作品制作と、自らも映像作品を制作・展示すると同時に討論会を4回開催し映像を通した人類学的理解について、また当事者参加型の調査や教育を含む社会科学の在り方についても議論を行った。こうした映像人類学と当事者参加型の制作活動、研究のアウトプットの在り方を考える活動は本研究の最終アウトプットにおいても活用する予定である。 2 ムスリム・メディアが運営するSNSやメディアの調査…西アフリカのムスリム・メディアが運営するYoutubeやFacebookなどのライブを定期的に視聴し情報収集と分析をすると同時に、西アフリカの大学に所属する若者たちを中心としたオンライン調査およびインタビューを行った。その結果、大学生世代の人を中心に、自らの社会生活や宗教実践にSNSやソーシャルメディアを活用している実態が分かった。こうした結果を踏まえ2023年は現地でフィールド調査を行う予定である。 3 オンライン勉強会と研究発表…上記の調査に加え、研究者同士の勉強会を開催した。特にデジタルネイティブ世代の宗教性に関して、アフリカ、アジアの異なる宗教実践について調査している国内外の研究者と勉強会を定期的に開催し、先行研究の検討や新たな研究成果についての議論を通じて新たな研究成果に繋げる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響および、今年度は特に育児休業のため、アフリカおよびアジアにおけるフィールド調査の実施が不可であったために、当初の計画を変更し、国内での研究活動やオンライン中心の調査、インタビューを中心に進めている。映像資料の収集や発表を重視すると同時に国内での勉強会や討論会実施した。新たなアウトプットの方向性の検討を通し、研究成果に繋げている。 現地における宗教メディアの運営者や教育機関関係者などに対する聞き取り調査や、利用者の動態調査などが実施できていないため、2023年度は現地でのフィールド調査の実施を計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、特にセネガルを中心に研究計画書で予定されている現地におけるフィールド調査を実行予定であり、最終報告書の執筆を行う。 研究機関の関係から全ての地域に渡航が困難な場合は、自らの専門地域であるアフリカ地域を重視し、アジア地域は研究協力者の協力を仰いで分析を進めたい。国内でも引き続き調査を実施し、以下の3点を中心に研究成果をまとめる。 1 アフリカ地域におけるフィールドワーク…現地での調査を行い、教育機関やイスラームメディアを作る信者のコミュニティを調査する。実地調査が困難な地域においては、オンラインでのインタビュー調査を進め成果に繋げる。 2 国内におけるイスラームコミュニティーに焦点を当てた調査…都内や関西の若いイスラーム教徒について、モスクやイスラーム圏からの留学生などにも焦点を当てて調べる。 3 オンラインコンテンツの分析とネットグラフィー 今年度に引き続き、西アフリカやアジアにおいてイスラーム系のメディア媒体や教育機関が提供しているオンラインのコンテンツの内容に関してより詳しい調査と言説分析を行う。国内にいる協力者などにも協力を仰ぎながらそれぞれの地域におけるイスラームコミュニティーのICT利用や教育への影響について調査する。 4 執筆と成果報告…これまでの研究成果を踏まえ、アフリカ、アジアのICT利用と教育、若者の宗教性への影響について先行研究のレビューやオンラインを中心とした調査の実態を中心とした調査の報告をまとめ、発表する。
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Causes of Carryover |
産前・産後休業による研究中断のため、フィールド調査費用はなく、勉強会や研究会、ワークショップを開催した際の謝礼や講師の旅費、文献購入などに予算を使用し、残りは繰り越した。
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Remarks |
一つ目は、西アフリカとマグレブ地域における女性と宗教性、市民社会に着目し、本研究の趣旨である若者やデジタルにも関連するイスラーム圏の女性の表象に関して調査している。 二つ目の国際共同科研Bは本スタート支援において代表者一人で取り組む内容としての研究範囲の広さと国内外の共同研究者との共同研究を行う意義を再確認したため昨年度申請し採択された。今年度も比較研究を続ける予定である。
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