2021 Fiscal Year Research-status Report
特別支援学校(聴覚障害)高等部の教科指導における手話活用の現状に関する全国調査
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20K22182
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
雁丸 新一 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (10883457)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 特別支援学校(聴覚障害) / 教科指導 / 手話 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では特別支援学校(聴覚障害)高等部の教科指導における手話活用の現状と課題を明らかにすることを目的とし、令和3(2021)年度については、全国の特別支援学校(聴覚障害)高等部を対象とした質問紙調査について分析した。 その結果、対象とした特別支援学校(聴覚障害)71校のうち、40校の183名の教諭より回答が得られ、すべての回答を分析対象とした。回答者の基本情報では、手話の学習・使用年数や手話の自己評価から、教師の多くは手話に関する専門的な知識や技能を習得していないこと、手話の学習・使用年数と特別支援学校(聴覚障害)経験年数との関係から、聴覚障害のない教師の多くは特別支援学校(聴覚障害)着任後に手話を学習していることが示された。また、生徒に対するコミュニケーション手段では、主なコミュニケーション手段は音声(聴覚口話)と手話の併用、補助的なコミュニケーション手段は指文字、主な手話は日本語対応手話であることが示された。さらに、教科指導における手話使用の利点と課題では、手話使用の利点、手話使用が効果的と感じる指導場面、手話使用が効果的と感じる教科内容、手話使用の課題、手話使用が向かないと感じる指導場面、手話使用が向かないと感じる教科内容などから、特別支援学校(聴覚障害)高等部の教科指導における手話活用の具体的な利点と課題が明らかになった。しかしながら、聴覚障害のない教師と聴覚障害のある教師では手話使用の利点や課題の捉え方が異なっていること、特に、聴覚障害教師はさまざまな観点から利点を捉え、また、配慮や工夫をしていることも示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染症によって、令和2(2020)年度の調査の実施の遅れに伴い、令和3(2021)年度内のスケジュールにも遅れは生じたものの、調査結果の全体的な分析は年度内に実施していることから、おおむね達成していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4(2022)年度については、調査結果のうち、特に、手話使用の利点と課題について詳細な分析、及び分析結果の報告を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響によって、調査が令和2(2020)年度末の実施になったことにより、主に調査及び結果集計の代行業務の費用等について、令和3(2021)年度に支払いを行った。 また、調査が令和2(2020)年度末の実施となったことから、本研究の結果については、令和4(2022)年度の学会等においても報告する予定である。
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