2023 Fiscal Year Annual Research Report
特別支援学校(聴覚障害)高等部の教科指導における手話活用の現状に関する全国調査
Project/Area Number |
20K22182
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
雁丸 新一 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (10883457)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2024-03-31
|
Keywords | 特別支援学校(聴覚障害) / 手話 / 教科指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では特別支援学校(聴覚障害)高等部の教科指導における手話活用の現状と課題を明らかにするために、指導経験の長い高等部教師を対象とし、質問紙調査を実施した。令和5(2023)年度は、特に、手話使用の利点、課題、配慮や工夫等について、調査対象者全体としての分析とともに、聴覚障害の有無による比較分析を行った。 その結果、手話使用の利点では、教師は聴覚障害の有無に関わらず、「生徒とのコミュニケーション」や「生徒の学習内容の理解の促進」を図るために手話を使用し、聴覚障害のない教師は音声コミュニケーションの補助手段として手話を使用している一方、聴覚障害のある教師は「障害認識の促進」や「生徒の手話(手話での表現や理解)力の向上」などの点においても手話の利点を捉える傾向が示唆された。また、手話使用の課題では、教師の聴覚障害の有無によって大きく異なり、聴覚障害のない教師では教師が生徒の手話を十分に読み取ることができない」や「教師が手話で十分に表現することができない」が多く、聴覚障害のある教師では「生徒の手話力の個人差」が多く指摘されていた。さらに、手話使用の配慮や工夫については、教師の聴覚障害の有無に関わらず、「音声や生徒の聴覚活用に配慮した手話使用」が最も多く、次いで、聴覚障害のない教師では「教科の専門用語の語彙(手話単語)の工夫」と「手話表現の内容の日本語(文字)による提示」、聴覚障害のある教師では「教科の専門用語の語彙(手話単語)の工夫」、「日本手話・日本語対応手話・中間型手話の使い分け」の順に多いことが示された。 これらの結果から、手話使用の利点や課題等は教師の聴覚障害の有無や教科の特性によって異なることも示唆された。
|