2020 Fiscal Year Research-status Report
The Effects of Scholarship on Student's Learning Behavior: Application of Intertemporal Choice Theory
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20K22207
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
呉 書雅 福島大学, 教育推進機構, 特任准教授 (70880219)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 奨学金 / student financial aid / 学習行動 / 異時点間選択 / 学生支援 / 学生生活 / 行動経済学 / 日本学生支援機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,行動経済学の知見を応用し,学習/就労の経済的効用が大学生にどのように認知されているかに着目し,「なぜ大学生は必ずしも必要ではない場合であっても学習時間を削ってアルバイトに従事するのか」について解明することにある。具体的に,本研究では(1)理論的枠組の構築(2020年度),(2)実証的検証「経済支援による学習行動調査」(2021年度)といった2つの課題に取り組んでいる。 課題(1)については,既存の高等教育研究では学生生活が必ずしも構造的に捉えられていないことを明らかにし,その構造を捉える理論的な枠組みを経済学的枠組みを応用して構築した。この枠組みを基礎として,そこに行動経済学(特に心理学的側面)を加味したモデルを設定した。分析枠組みの妥当性を検証するために予備調査(インタビュー)を行った。これにより具体的には,現在志向性(将来の利益より現在の利益を選ぶ),横並び行動(自身の考えよりも周りの考えを優先する),リスク回避行動に着目した分析枠組みを構築した。なお,インタビュー調査では,学生の現在志向性が短期的な便益を好む場合には学業より就労を優先する傾向,学生の現在志向性が長期的な便益を好む場合には就労よりも学業の機能の充実を志向する可能性が高いことが浮かび上がった。このことは経済支援が就労抑制と学業促進を実現するための隠れた媒介変数として学生の現在志向性が重要であることを示している。以上の研究実績は,研究発表・研究報告書などとして公表した。また,課題(2)として,「経済支援による学習行動調査」の調査設計を進めた。来年度に定量調査を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における課題(1)(2)に関して,いずれも計画通りに順調に進んでいると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は概ね研究計画通り進んでおり,引き続き課題(2)「経済支援による学習行動調査」の実施を行い,研究成果を公表していくとする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により,旅費(学会発表等)は予定の通りに執行できない。執行できない予算は,次年度にインタビュー調査対象への謝金や「経済支援による学習行動調査」費用として執行する予定である。
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Research Products
(4 results)