2021 Fiscal Year Research-status Report
多様なニーズを持つ生徒を包摂する「公正に個別最適化された学び」実現方策の検討
Project/Area Number |
20K22216
|
Research Institution | Seisa University |
Principal Investigator |
土岐 玲奈 星槎大学, 教育学研究科, 講師 (80883412)
|
Project Period (FY) |
2021-02-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 公正に個別最適化された学び / 通信制高校 / 令和の日本型学校教育 / 遠隔教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、文献研究を中心に、初等中等教育機関における新型コロナウィルス感染症の拡大が教育現場にもたらした影響についての検討を進めた。また、日本通信教育学会の研究協議会においてシンポジウムを企画し、高等学校通信制課程(以下、通信制高校)において生じた影響や、通信制の強み等について、現場の声を聞かせていただいた。 ICT機器の普及は全国一斉に進められたが、その活用方法や範囲は地域による差も生じていた。たとえば熊本市では、ICT活用による不登校の子どもの学習機会確保など、コロナ禍を契機として新たな取り組みが行われていた。一方、ICTの活用による遠隔教育を、単にEmergency remote teaching(本来であれば対面で行われる授業や教育を、危機的な状況下で一時的に別の配信形態に移行するもの)と認識している場合、対面授業の再開に伴って教育の方法が以前の形式に戻されていく状況も見られた。 通信制高校においては、通学制の課程と比べ、生じた影響は小さかった。むしろ、外出やマスクを外すことに対する抵抗感を覚える生徒にとっては、外出制限、マスク着用の推奨、スクーリングの遠隔実施等が安心感につながったとの声も聞かれた。しかし、こうした生徒たちが、他者との関係を築き、広い意味での社会復帰を果たすための支援やきっかけを得ることが困難となっていた。 これらの点については、2022年度に通信制高校における教員に対するインタビュー調査を実施し、詳細な検討を進める予定である。 通学制高校においてコロナ禍がどのように経験されたのかを明らかにすることは、一つには、その経験の背景にある教育方法の柔軟性、個別対応可能性を浮き彫りにすることになる。一方で、通信制課程であっても、対面でないと十分に行えない教育や支援の存在は、生徒が学校へ通うことの意味を改めて捉え直すための重要な示唆をもたらすものと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は、6月末に育児休業期間を終え、調査研究を開始した。 1年目の研究のうち、文献研究を進め、聞き取り調査の準備を整えることができた。 年度内に聞き取り調査を開始する予定であったが、実施には至らなかった。 成果の公表についても限定的なものとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、通信制高校に対し、訪問及びテレビ会議システムの活用によるインタビュー調査を集中的に実施する予定である。
|
Causes of Carryover |
在宅勤務が続いたため、研究室で使用する物品購入を一部見合わせた。 また、聞き取り調査の旅費と文字起こしの費用を繰り越すこととなった。
|
Remarks |
【雑誌】土岐玲奈, 2022,「通信制高校教育と聴くこと 」『NEW SUPPORT 教育情報』no.31, pp.14-15. 【学会シンポジウム企画】加藤圭太,佐藤 眞珠華,緑川 孝浩,吉嶺 茂樹,土岐 玲奈, 2021,「withコロナ時代の学校教育-通信制高校の教育実践から考える日本通信教育学会 第69回 研究協議会」
|
Research Products
(1 results)