2023 Fiscal Year Annual Research Report
多様なニーズを持つ生徒を包摂する「公正に個別最適化された学び」実現方策の検討
Project/Area Number |
20K22216
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Research Institution | Seisa University |
Principal Investigator |
土岐 玲奈 星槎大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (80883412)
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Project Period (FY) |
2021-02-01 – 2024-03-31
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Keywords | 通信制高校 / 遠隔教育 / 対面教育 / 不登校 / ICT活用 / 公正に個別最適化された学び / 令和の日本型学校教育 / 社会的包摂 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、昨年度に引き続き、通信制高校4校において、訪問によるインタビュー調査を実施した。これらを含む調査の結果については、日本学校心理士会千葉支部・日本学校教育相談学会千葉支部 令和5年度合同研究発表会、日本通信教育学会 第71回研究協議会、日本教育学会 第82回大会において口頭での発表を行うとともに、通信制高校教員向けの研修会等でも報告した。また、星槎大学紀要(査読あり)および、本研究の成果報告書において、新たな論文を発表した(いずれもweb公開あり)。 これまでに実施したインタビュー調査の結果を踏まえ、第一に、Covid19による行動制限を経て、通信制高校教育において、生徒と教師が顔を合わせて集い、関わることの意義が、教師によってどのように認識されているのかを分析した。結果として、公立校では、個々の教員は様々な考えを持っているものの、学校全体としては、知識の習得に重点が置かれていた。一方、私立学校の教員は、教科教育以外の側面や対面教育の意義を語る傾向があった。このように、登校や他者との交流に苦手意識や嫌悪感を持つ生徒に、他者との交流を促す私学の取り組みは、学校の居心地の良さを重視する「コンサマトリーな機能」ではなく、社会的自立を目指した「インストルメンタルな機能」を意図していることが明らかになった。 次に、インタビュー調査及び文献調査によって、高等学校における単位修得に関する制度と運用実態について検討した。制度としては、自分が所属する課程以外の併修や各種資格試験等の活用による単位認定は可能だが、実態としては、全日制高校、特に入試偏差値の高い進学校においては認められるケースが少ない傾向が見られた。学び方が異なる課程間の連携や、生徒の学力が異なる学校間での連携には、運用上の調整が必要であることに加え、教師の意識の変革も必要となることが明らかになった。
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Remarks |
土岐玲奈,2023,「『支援者になること』の意味と意義-学習支援活動のオートエスノグラフィ的考察-」『学校教育臨床研究』(4), p.40. 土岐玲奈,印刷中,「教師自身の学校経験と指導実践の関わりの検討―通信制高校教諭のライフストーリーインタビューから―」『学校教育臨床研究』(5).土岐玲奈,印刷中,「公開シンポジウムI 変容する公教育と学習-発達保障のゆくえ」『教育学研究』91(1).
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