2020 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of a two-phase overdetermined problem of Serrin type: from local to global
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20K22298
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 優決定問題 / 形状最適化問題 / 二相 / 楕円型偏微分方程式 / 陰関数定理 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的は複合媒質における形状最適化問題及び優決定問題の解の幾何学的性質を明らかにすることであった。主な研究成果は二つある. ① 論文L.Cavallina, "Local analysis of a two phase free boundary problem concerning mean curvature " (Indiana University Mathematics Journalに掲載決定)では, 区分的定数関数を係数とする発散型の楕円型作用素に関する優決定問題を解析した.特に, 境界上における法線微分の値が曲率半径と比例するという優決定条件を考えた. 陰関数定理及びCrandall-Rabinowitzの定理を用いて, 非自明解を構成し, 自明解近傍における分岐現象の解析を行った. ② 論文L.Cavallina, A. Henrot, S. Sakaguchi, "The double queen Dido's problem "(The Journal of Geometric Analysis 2020) では,変分法における最古の問題であると言われる「ディド女王の問題」(等周問題)の一般化を考えた. N次元ユークリッド空間において, 二つの半空間及び超平面である界面の重みを考慮した等周定理の拡張を得て, 問題のパラメーターによって解の特徴づけを行った. 古典的な等周定理の解は球に限るが, 本論文で得られた解は二つの球欠の和集合である. さらに,各球欠が界面となす入射角は(上述の重みによって決まる)Snellの法則にしたがうことが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題に対して相応の進展があった。特に, 本研究の主題である二相Serrin型優決定問題の解析に適用してきた手法(陰関数定理及びCrandall-Rabinowitzの定理による局所的な解析手法)は他の優決定問題に対しても有効であることが明らかとなった. したがって, 様々な二相優決定問題の自明解(同心球)近傍における解の振る舞いが類似する(非自明解の存在及び対称性の破れ等)ことが期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
介在物と母体からなる複合媒質における楕円型優決定問題(二相Serrin型優決定問題)の非対称解(非自明解)のより精密な解析を行うことを今後の研究の目的とする. 特に, 非自明解の大域的解析に重点を置いて研究を進める予定である. 具体的に以下の課題に挑戦する予定である. ① 非自明解近傍の解の振る舞いを解析する.特に, 分岐現象が起こらないための条件を考察する. ② 任意に選んだ一般の開集合(連結とは限らない)を介在物とする解の構成に努める. ③ 介在物を固定した上で, 解(自由境界)の族がなす(葉層)構造を考察する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、国内外の出張がすべてキャンセルとなった。同様に、研究打ち合わせ及び学術発表が全てオンライン形式で行われることとなった。 なお、大学側からテレワークが勧められていたため、研究室で使う予定だった物品の購入を令和3年度に延期することとした。
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Research Products
(12 results)